大都市の不動産価格高騰、交通渋滞に関するニュースがメディアでしばしば伝えられ、「大都市病」の深刻化に対する不満が募ると同時に、大都市から「逃れる」べきかを考える人も出始めている。大都市に対する愛憎が交錯・加速する中、実際に都市を離れる人は極めて少ない。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
2006年に大学院を卒業した孔洋さんは多くの会社から内定をもらい、最終的に北京の大手ハイテク企業に入社した。当初は意気盛んだったが、今ではマイホーム購入のプレッシャー、毎日の張り詰めた仕事、往復2時間以上の通勤で疲れ果ててしまった。
「マイホーム、マイカー、子どもの教育はいずれも頭の痛い問題」。孔洋さんいわく、北京を離れてふるさとに戻り、小さな都市で仕事を探し暮していこうかと真剣に考えることがあるという。同級生の多くが故郷でマイカー、マイホームを買っているのを目にすると、自分の当初の選択が正しかったのか自問するという。
このように考える人は少数ではない。あるサイトが行った調査結果によると、中小都市への転居を支持する人達が94.3%を占めた。彼ら・彼女たちは、中小都市ではより幸福感を感じやすいと考え、大都市のほうが前途有望としたのはわずか3.1%だった。
実際に中小都市に転居した人達はどれくらいいるのか?記者が三大都市(北京・上海・広州)在住の同級生十数人に聞いたところ、転居した者は一人もおらず、身近な友人にも尋ねてみたが、同じ答えが返ってきた。
「そんなにストレスが多いのに、どうして帰郷しないのか?」という問いがネット上で書き込まれると、レスが集中した。「北京戸籍が惜しい」「子どもがすでに学校に通っている」「地方ではよい仕事を探すのは難しい」「やり直すのは大変」「戻ればメンツが立たない」……とそれぞれの事情があるようだ。結局のところ総括は「帰りたくないのではなくて、帰ることができない」。
人々は大都市の不動産高騰、交通渋滞、子どもの入学難に恨みを抱きながらも、一方では離れられない。しかも華やかさに憧れる若者達で、大都市はさらに混み合ってゆくのだ。
「人民網日本語版」2010年11月19日