過去20年近くにわたり、学生の就職先人気トップは外資系企業だった。しかし最新の調査結果によると、国有企業・公務員などが福利厚生と安定性で、学生らの注目を高めている。「中国青年報」が伝えた。
「中国青年報」が2008年に行った調査では、卒業後の希望就職先に外資系企業を選んだ大学生は42.4%と、前年比8.2%減少した。一方で国有企業志望学生は前年の14.6%から19.2%に増え、その勢いは強くなった。
ある求人サイトが昨年発表した「最も優れた企業ベスト50」によると、上位50社のうち国有企業が29社(58%)を占め、7年続いた外資系企業のトップを奪った。今年の調査では国有企業は33社がランクイン、外資系企業はわずか4社で、国有企業の人気が遙かに上回っている。
「以前は外資系企業を選択する学生が多かったが、今では国有企業が徐々に外資系企業の勢いを追い越しつつある」。北京大学就業指導センターの陳永利・主任は、北京大学卒業生のうち国有企業の人気は、近年外資系企業を上回っていると語る。
リーマン・ショックにより、大卒者の国有企業と外資系企業に対するイメージが一転した。ある就職コンサルタントは、金融危機の影響から、一部の外資系企業は大規模なリストラ、報酬削減を行い、仕事のストレスが大きく、不安定な一面が浮き彫りとなった。それに対し、国有企業の管理水準は著しく進歩・改善され、加えて国有企業自身が人材の重要性を意識し始めていることから、人材育成への投資を増やしており、国有企業が多くの学生に徐々に認められるようになった。
「国家公務員ブーム」「国有企業ブーム」が沸いている。国家公務員試験受験者数は昨年に100万人を突破、今年は141万人以上が受験し、最も高い競争率の職種は4961倍となった。
国有企業のほか、「鉄飯碗(食いっぱぐれのない職業)」と呼ばれる公務員はさらに「安定」の代名詞となっている。専門家は、解雇制度が緩やかなため、公務員は事実上解雇を勧告されることはない上、手厚い福利と待遇に恵まれ、多くの学生にとって魅力的な職業となっていると指摘する。
「公務員受験や国有企業の人気は、ここ2年に見られる就職傾向です」と陳主任は述べる。
「人民網日本語版」2010年12月2日