北京の国有企業に勤務する常亮さんは多くの同年齢層に比べ、月収にややゆとりがあるためマイホーム購入は可能だ。しかし彼は賃貸を選択した。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
彼は記者に計算してみせた。「北京三環路付近で2LDKが200万元、賃貸なら毎月3千元以下。今の不動産価格なら、60年借りても200万元、買う必要がありますか?」。
常さんの手元には今、約20万元の預金がある。仕事の合間に友人数人と小さなビジネスを営み、毎年彼女と旅行に出かけ、気軽で自由な暮らしを送っている。
「仮にマイホームを買ったら(毎月ローンを支払わなければならず)、生活の質は必ず急降下するでしょう。マイホームのために自分を犠牲にする必要がありますか?」。
常さんの選択は非常に多くの人には理解しがたい。中国人には歴史的に、お金があれば家を建て、職に就き、子孫のために財産を貯める文化的伝統があるからだ。不動産は家庭において最大の資産でありつづけた。
一方でここ数年来の不動産価格の急騰により、「今買わなかったら将来はますます買えなくなる」といった心理が沸き起こり、非常に多くの人達が自身の身の丈を顧みずマイホーム購入に駆り立てられている。
不動産関連機構の統計によると現在、中国人のマイホーム購入の低年齢化が鮮明になっている。昨年、マイホームを購入した人のうち30歳以下は約38%を占めた。北京で初めて住宅ローンを組む人の平均年齢はわずか27歳。多くの若者は住宅購入能力がないにもかかわらず、マイホーム購入のため、両親の一生の貯蓄を使い果たしている。
高不動産価格時代となり、多くの中国の若者の住宅消費理念に今、変化が訪れている。これまでのように「一気に」マイホーム購入を狙うのではなく、賃貸を経てマイホーム購入、小さな家から徐々に大きな家に転居するのがより多くの人達の選択となっている。
中国政府も事実上現在、社会に対して理性的な住宅消費観を形成するよう導いている。販売用物件の賃貸市場を規範化、デベロッパーによる小中型販売用物件の建設拡大を促し、同時に公共賃貸住宅など保障性住宅建設を大幅に増やしている。
「人民網日本語版」2011年1月6日