世界500強企業本社の数量で見た場合、北京はすでにニューヨークやロンドンを上回った。世界一流の多国籍企業支社の数で見ても、北京は東京を凌いでいる。しかし、北京は依然「世界都市」とは言えない。ボトルネックとなっているのは、ずばり「人材」だ。
北京市人材資源(マンパワー)センターがこのほど発表した報告は、ニューヨーク、ロンドン、東京の各都市と比べ、北京の人材産業、人材環境、人材コスト・利益など各方面において、北京はまだまだ大きく立ち遅れており、世界都市への道のりはまだ長く遠いと指摘している。以下は同報告の概要。
北京は、世界都市建設の新しい段階に全面的に突入した。しかし、「ローマは一日にして成らず」のことわざ通り、世界都市も一日して成らず、そう簡単に実現することは不可能だ。とりわけ、優秀な人材が集まらない限り、世界都市の構図は素晴らしい青写真の枠を越えることはできない。北京のウィークポイントは人材分野にある。
世界都市の代表的産業は、ハイテク産業、金融産業、クリエイティブ産業によって特徴づけられる。ニューヨーク、ロンドン、東京3都市でこれら3産業に携わる従業者の割合は50-55%だが、北京ではわずか17%。この数字は、北京における人材の産業分布が極めて不合理であるという状況を浮き彫りにしている。
不合理な状況は他にもある。人材の規模から見ると、北京は十分な人材基盤を擁し、総数はニューヨークとロンドンの3倍、東京の1.5%だ。しかし、人材の質で見ると、北京を3都市と同列で論じることは難しい。北京では就業者1万人中、科学技術分野で研究開発(R&D)業務に携わる人は1年あたり204人。一方、ニューヨークでは664人、ロンドンは410人、東京は795人。北京では、25歳以上の労働人口の平均教育年数はわずか10年だが、ニューヨークでは16年だ。
今後、産業発展のハイエンド化や国際化に伴い、国際的視野、現代的な考え方、イノベーション思考を備えたハイクオリティ・ハイレベル人材群はなくてはならない存在となる。北京市の人材発展は構造的に不足しており、まだ世界都市の条件を満たすことはできない。
「人民網日本語版」2011年6月9日