あるテレビ報道の動画が最近、インターネットで人気を集めている。深セン市の繁華街で、16歳の少年が家庭の問題から平静を失い、ナイフを持って歩道橋にのぼり、自殺をほのめかした。この時、通りかかった19歳の少女が少年を救おうと決心し、最後には周囲が驚いて見守る中で少年にキスし、母性愛に飢えたこの少年を救出した。
「キス」をおくった少女は深センの景田匯邦大班ホテルの従業員・劉文秀さんだ。同僚の魏さんが語ったところによると、事件当日の9日午後3時ごろ、劉さんは親戚と事件現場の近くで買物をしていたが、歩道橋の下に大勢が集まって何かを見ているのに気がつき近づいてみると、一人の少年が歩道橋の手すりの外に立ってナイフを自分に向け、興奮した様子で警察と向き合い、飛び降りて自殺すると叫んでるのを目撃した。少年がどんどん落ち着きを失ってゆくのを見て、劉さんは近づいて少年を助けようとした。
警察は他人が少年に近づくのを阻止していたが、劉さんはとっさに少年のガールフレンドだと名乗って警察に通してもらった。歩道橋の上で少年と言葉を交わした劉さんは、彼が16歳で母親は何年も前に亡くなり、父親の再婚相手の継母が彼につらくあたったこと、また父親の財産を騙し取ったこと、家庭の温かさをずっと感じられなかったことなどを知った。話を聞いた劉さんも少年と一緒に泣いてしまったという。劉さんは少年に向って、家庭の原因で彼女も少年のような絶望をかつて味わったことがある、自分も頑張ってきたから少年も頑張って欲しいと語りかけた。少年は劉さんの共感を感じると大声で泣き、劉さんも少年に負けないぐらいの大声で泣いてしまったが、少年にさらに近づいて説得を続けた。最後に劉さんは見守る人が予想もしなかった行動に出た。少年にキスしたのだ。少年は最初はびっくりしたが、続いて劉さんを信頼して抱きしめようとした。この瞬間に消防隊員が駆け寄って少年を歩道橋の手すりの外側から連れ戻したという。
「人民網日本語版」2011年6月22日