香港警察がマフィアのアジトに潜入するというのは、映画「インファナル・アフェア」の中だけの話ではない。香港メディアの報道によると、若い警察官の退職が増え、香港警察は潜入捜査官が不足しているという。「面が割れていない」ことが潜入の条件となるため、新卒の若手警察官がその役目を担うことになるのだ。
▽警察の事情 潜入捜査官不足
28日付の香港紙「新報」によると、香港警察には約3万人の警察官がおり、2010年に計865人が退職、その多くが経験の少ない若年層という。これら若い警察官は本来であれば、訓練を受けた後、マフィアなど犯罪組織に潜入する任務につく場合が多い。
ある警官は、「潜入任務は映画のように、かなりのリスクが伴う。自分の素性がばれたら、最悪命を落とす恐れもある。でも、犯罪組織の摘発に成功すれば、出世は約束され、最低でも巡査部長になれる。だから、若手警察官の多くはこの役に就きたいと希望している」と話した
退職する警察官に新人が多い理由について、辞職したばかりの元潜伏捜査官は「警官の中には、現役大学生が多い。彼らは、昇進のチャンスが少ない上、香港経済が上向きになっているため、転職に踏み切る」と話した。
また、潜入は極めて難易度の高い仕事だ。犯罪組織に入ってから1、2年は何も行動は起せず、じっとチャンスをうかがう。やっと目標の人物に接近し、犯罪の証拠を集め、警察母体と連携して容疑者逮捕にこぎつけても、今度は法廷で証言しなければならない。それらを経てようやく法に依り容疑者の処罰が決定する。となると、ひとつの潜伏任務を終えるには、最低3、4年かかる。
香港メディアは、香港警察が各大型犯罪組織に送り込んだ潜入捜査館は、全盛期には約200人いたが、現在は100人ほどと見積もっている。相手に見抜かれないため、警察が人選の決め手としているのは、「面が割れていない」ことという。