▽潜入訓練 最も難しいのは「自分を忘れ去ること」
香港誌「藍盾」に以前、潜入任務を経験した警官、石さん(仮名)の話が掲載された。石さんは24歳で取締捜査機関「廉政公署」に就職、「潜入トレーニングセンター」に入った。トレーニングで最も難しかったのは、自分の心から自分という人間を徹底的に忘れさる「洗脳」だったという。誰かに自分の名目を呼ばれる、または過去の事を思い出すようなことを話しけられても、ごくわずかでも反応することは許されない。
石さんは、浅黒い皮膚を白くブリーチするという苦痛を伴う「顔の改造」も経験したという。また、大学に出入りして学生の日常会話に出てくる言葉を覚え、絶えずその真似をし、大学を卒業したばかりのチンピラ風に自分を仕立て上げた。
石さんはまず、香港特区工商署映画・テレビ娯楽事務所に入りこみ、同僚とともに悪事を働き、最終的には汚職・収賄を行った人間を一斉摘発にした。彼はまた、香港のある麻薬密売容疑がかかった阿片タバコ密売組織に潜入。取り巻きが家に押しかけ素性を調べられたり、道端で偶然出会った元同級生に身分をばらされそうになったりなど危険な目にも遭ったが、ついには同組織が政府役人に賄賂を送っていた証拠をつかんだ。
石さんは「潜入には危険がつきものだが、機敏さと胆っ玉を鍛えることができた。『三百六十行、行行出状元(どんな職業にも優れた人はいる)』という諺がある。私は潜伏という仕事を大切に思っている。なぜなら、正義と意義を備えた任務と信じているからだ」と話した。
「人民網日本語版」2011年6月30日