「カンフー・パンダ2」 |
今年の5月28日から中国で公開されているハリウッド映画「カンフー・パンダ2」は中国での公開初日に4千万元(約5億円)のチケット売り上げを記録した。世界興行収入歴代1位の26億4千万ドル(約2385億円)を記録したハリウッド超大作「アバター」や、予想を大幅に超える反響となった中国国産映画「唐山大地震」を抜いて、初日の売り上げとしては中国映画史上最高額を塗り替えた。
「カンフー・パンダ」の続編であるこの作品でも、主人公のパンダ「ポー」は緑の目をしているが、内面的要素は中国人そのものである。「ポー」はラーメンや肉まんを食べて育ち、中国の美しい自然の中で遊びたわむれ、アヒルのお父さんとの間には中国人の親子に見られるような親子愛が描かれている。これら文化的要素の取り入れ方は、単に「中国風」といった表面的なレベルにとどまらず、中国文化の真髄にまで入り込んでいる。
同映画の制作に関して、アメリカの映画製作会社「ドリームワークスSKG」のアートディレクターRaymond Quarter Buch氏は中国メディアに対して、「この映画の制作の背後にはアメリカ人、中国人、韓国人で構成された強力な国際制作チームがある」「彼らは中国の文化を心から愛しているが、中国文化をそのままコピーするのではなく、中国にあるストーリーや題材をモデルにして新しいストーリーを作り出している」と述べている。
さらに「アメリカの制作者はこの映画を制作するにあたり、中国の古い街並みの残る北京の路地『胡同(フートン)』へ行き人力車に乗り、『万里の長城』に登り、ユネスコの世界遺産にも登録されている山西省の古都『平遥』を視察して、これら中国の特徴を備えている建物を同映画のシーンに取り入れている」「そしてラストシーンには孔雀王の軍隊が香港のビクトリア・ハーバーをモデルにした『鳳凰城の港』から出てくる」と紹介し、「このようにして初めて中国人にとって美しく親しみのある映像が作れる」としている。
また主人公のパンダ「ポー」の姿をかわいく表現するために、制作チームは成都を訪れ、1歳のパンダの生活を実際に現場で観察した。最終的に「少し困惑したような、いたずら好きの表情」を作品の中で生き生きと表現することに成功している。