同映画では3D技術とアメリカンジョークを使って、中国の豊かなアニメーションや伝統文化資源を掘り起こし、人の心をひくクラッシックで美しい中国をスクリーン上で再現している。ハリウッド映画が型にはまらず親しみのあるやり方で中国文化を紹介し人気となっているため、「『ポー』になぜカンフーを簡単に盗ませてしまったのか?中国アニメ業界はいつ反撃に出るのか?」との疑問が中国映画界に投げかけられている。
業界関係者は「中国と米国のアニメーション映画には依然として大きな開きがある」とし、その原因として「アニメーション技術や資金力というより、むしろある文化を表現したり、ストーリーを創造したりといった能力に隔たりがある」「アニメーション産業は現在、中国各地でクリエイティブ産業の中心として大きな発展を見せているが、巨額の投資や驚異的な制作本数のわりには、世界に誇れるような競争力のある魅力的なアニメーション作品はまだまだ少ない」と指摘している。
中国国営の中央テレビ局(CCTV、NHKに相当)で今年4月24日より放送している、水資源の保護を題材としたアニメ「滴水精霊」の制作者で、上海星洲文化伝媒公司の総経理でもある曹鋼氏は「ハリウッドのオリジナル作品の制作能力は中国映画業界が考えるよりもはるかに高い」と指摘。「『カンフー・パンダ』の主人公『ポー』のお父さんがアヒルという設定は現実的に考えるとあり得ないが、観衆は決して違和感を覚えない」とし、「『ポー』を育てるアヒルのお父さんの言動は父親の深い愛情に溢れており、観客はその愛情に心を打たれ、一見不合理なこの設定を完全に受け入れてしまうからだ」と説明した。
同氏はまた「ハリウッドは一つの文化をモデルにして作品を作り出す以外に、人の心の奥深くに入っていく能力の点で抜きん出ている。この聴衆の心をつかみ、感情に訴える手法は、中国の映画業界やアニメーション業界にとって取り入れやすい、いや取り入れるべき手法で、形を求めるのでなく、その『心』を学びとるべきである」と指摘する。(中国の雑誌『半月談内部版』より)」
「人民網日本語版」2011年7月12日