中国の最高人民法院(裁判所)のデータによると、2008年から2010年までに全国の裁判所で受理された結婚関係など家庭内の紛争に関する案件は2008年129万件、2009年134万2010年137万件と年々増加している。中でも「不動産」「親」「車」「お金」「子供」などをめぐる問題が紛争を泥沼化させている。
最高人民法院(最高裁判所)「婚姻法司法解釈(三)」が13日から施行され、「結婚前にローンや両親の援助で購入した住宅をどのように分割するか」「子供が自分の子供でないとの疑いを持ったものの、配偶者が鑑定を拒否した場合どうするか」「愛人は保護を受けることができるのか」「妊娠中絶は『生育権』の侵害に当たるか」などの大きな争点について重点的に解釈を行っている。その中のいくつかを取り上げ、「婚姻の中で決定権を握るのは果たして誰なのか」を探ってみよう。
▽結婚前にローンで購入した住宅は自分の物
現代社会において、結婚前に夫婦のどちらかがローンで住宅を購入し、結婚後夫婦で残りのローンを返済するというのはよくあることである。特に中国では伝統的に男性側が住宅を準備するという習慣があり、住宅の名義は通常夫となっている。そして結婚後夫婦共働きで一生懸命ローンを返すのだ。ではもし離婚したならその家は誰のものになるのだろうか?名義人の夫だけが得をし、妻は泣く泣くすべてを諦めなければいけないのだろうか?
【条項】第十条は、夫婦のどちらかが結婚前に成立させた不動産売買契約に関して規定している。個人財産で頭金を払い、残りを銀行でローンを組んで購入し、結婚後夫婦の共同財産で返済しており、不動産の登記が頭金を支払った側の名義で行われている場合、離婚時には夫婦双方の協議により当該不動産を処理する。合意が成立しなかった場合、裁判所は登記者に財産権があるものと見なし、返済の終わっていないローンについては登記者の負債となる。夫婦双方が結婚後に共同で返済した金額および上昇した財産価値については、離婚の際財産権のある登記者が相手側に補償しなければならない。
【解説】北京市弁護士協会婚姻家庭法律専門委員会の副主任王芳弁護士は第十条の規定に関して「不動産の権利が誰になるのかを争う際、『結婚後夫婦の共同財産でローンを返済した場合、不動産の財産権を持つ側が配偶者に一定に補償を支払わなければならず、さらに上昇した不動産の価値に対する利益も考慮に入れなければならない』という第十条第二款の規定を見落としがち。しかし、むしろここが最大のポイントで、不動産が夫婦の共同財産という考えがはっきり示されている。住宅購入はしてないものの、配偶者と共に長年ローン返済を行ってきた女性側に対して、公平な規定となっている」と肯定的な見方を示す。