今年の10月10日は、20回目の世界メンタルヘルス・デーだった。今年のテーマは「共同責任を担い、精神の健康(メンタルヘルス)を促進する」。統計データによると、15歳以上の中国人のうち、精神疾患を患っている人の割合は17%、このうち、うつ病は約5%、不安障害は約5%、薬物・アルコールなどへの依存症は約5%、重度精神病は1%だった。
北京回竜観病院の楊甫徳院長によると、中国には重度の精神疾患患者が約1600万人おり、毎年増加傾向にあるという。精神衛生に関する知識が不足していることから、精神疾患に対する国民の認知率、精神疾患患者の識別率、要治療者の受診率はかなり低い。このため、精神疾患の再発率、再入院率、後遺症率が上がり、精神疾患患者が社会復帰や自立した生活を実現することが難しくなる。これにより、精神疾患患者に対する正しい理解・同情が不足することになる。こうした状況とは裏腹に、全国で登録されている精神科の医師はわずか2万人弱、国民10万人あたりの精神科医師数は1.46人と、国際基準の4分の1にとどまっている。精神疾患医療サービスが著しく不足しているのが、中国の現状だ。
北京市衛生局の毛羽副局長は「北京市で精神病科に関わる医療従事者数とベッド数は、いずれも全国トップだが、医師数は1千人にも満たず、看護師も2千人足らずだ」と指摘。その原因として、▽精神科医の道に進もうとする医師候補生が極めて限られており、育成期間も長いうえ、精神科医に対する偏見があり、ほかの診療科の医師と比べて収入が低いため、精神科業界に覇気がない▽精神科医の専門性が極めて強く、代替性や通用性が備わっていない--の2点を挙げている。
「人民網日本語版」2011年10月11日