鳥取県大山町にある大山は、海抜1729mの火山で、最後に噴火したのは約一万年前である。山体は東西約40km、南北約35kmで主峰の周りをいくつもの峰が囲んでいる。
大山は本州西部の最高峰であり、島根、鳥取、岡山の三県にまたがる大山隠岐国立公園の一部である。西側から眺めると大山の形はとても富士山に似ており、鳥取県西部はかつて伯耆国と呼ばれていたことから、大山は「伯耆富士」とも呼ばれる。しかし、南側と北側から眺めると、大山は山が連なっているように見え、まるで違った山に見える。大山は、まさに宋代の詩人蘇軾の詩にある「横看成嶺側成峰(横より見れば嶺を成し、傍らよりは峰となる)」のような美しい姿をしている。
大山は古来から富士山、立山、御岳山と合わせて「日本四大名山」と呼ばれてきた。現在も「日本百名山」と「日本百景」の一つに選ばれている。
大山は古来より周辺地域の山岳信仰の中心であり、山腹には歴史ある大神山神社や大山寺がある。大山寺は天台宗に属しているが、日本の他の寺院と異なり、施主がいないため、信徒からの賽銭だけで維持されている。大山寺の支院である圓流院は著名な画僧嗒然が修行した場所だ。2009年に再建されたのち、天井に描かれたたくさんの妖怪画で有名になった。この妖怪画は鳥取県境港市出身の画家水木しげるが描いたものである。2枚の仏教に関係のあるもの以外、その他の108枚はすべて妖怪の絵で、有名な「大山からす天狗」や河童などもある。これらの妖怪はこの世の戒律と規範を象徴しているのだという。