▽現存の中国の大学受験制度では才能を発掘できない
今回、劉さんが中国メディアで騒がれている事に関して、中南大学数学科学・計算技術学院の党委員会の顔興中書記は、今後、特殊な人材の選抜や育成に関する課題が残っており、真剣に注目、検討しなければならないと指摘。
そして「メディアが劉さんに注目しているのは、彼のような若い芽がこれからもっともっと出てきてほしいという期待があるからだが、大学の中には、ほとんどいないのが現実」と指摘。
今のところ、中国の人材選抜制度は主に大学受験制度のような試験しかない事に関して顔書記は、「大学試験制度の存在には合理的な目的があるものの、特殊な人材に関しては特殊な選抜ルートがあるべき」と指摘。
一方、湖南省社会科学院の馬純紅教授も、現行の受験者募集制度は傑出した人材を発掘するのには適しておらず、個性的で特殊な才能をもつ人材がそれを発揮する場がない」と指摘。
馬教授は、こうした伝統的な枠組みを打ち破り、特殊な人材を審査評議する制度を打ち出すなど、現存の体制を改革して初めて、特殊な才能を持つ人が自由にそれを発揮する空間ができ、しいては社会全体の試験に合格することだけを目的とした教育意識をも変化させることができると考えている。
現在、中国は大学自ら生徒を募集する制度や優秀な学生が修士課程を経ずに博士課程に進める制度など、特殊な人材選抜のための道を模索している。しかし、顔書記は特殊な経路の幅をもっと広げなければならないとする。
一方、馬教授は、今の教育制度では、特殊人才の育成手段が少なく、難しいという問題があるため、学生の能力に応じて異なった教育を施すことに加え、積極的に社会資源が各種教育活動を展開するよう促進し、学生一人ひとりが自分の才能を発揮できるプラットホームを提供していかなければならないと指摘。
▽才能の芽を摘む物質主義
顔書記は「大学を出なければ良い仕事が見つからないという問題について、親も子供も確かに考える必要があるが、それがすべてではない。もし、全ての人の学習目的が富や名声だけなら、理想もおもしろみもない。そんな状態でどうして成功や貢献があるのか」と警笛を鳴らす。
のびのびとした社会環境や融通性のある国の体制、各家庭のサポートが特殊な人材を育てる要素で、この3つが緊密に折り重なってこそ、真の成功、貢献が達成される。
「人民網日本語版」2011年11月8日