中国では、年の瀬を「年関」と呼ぶ。現代漢語詞典には、「旧暦の年末には、支払いの締めがあり、未払いや借金を残している人にとって、年を越すことは関所を通るほど難しいことから、年末は年関と呼ばれるようになった」との説明がある。現代の勤め人は、昔の人のような煩わしさから解放されたとはいえ、「年関」に新しい試練と対峙せざるを得ない人は少なくない。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
衛さん(仮名)は「年末が近づくにつれ、忙しさは募る一方です。2日前、職場のエレベーターで妻と出くわしたんですが、なんと口から『どうも』という言葉が反射的に出てしまったほどです」と最近の様子を話す。
妻とともに北京の有名多国籍IT企業に勤務する衛さんは、マーケティング部のマネージャーを担当している。「早朝出勤、出張、残業はもう日常茶飯事です。年末が近づくにつれ仕事はますます忙しくなり、夫婦ともども、眩暈がして倒れそうです」と訴えた。
衛さんは、「どうも」の一言で夫婦の間に気まずい空気が流れたことを気にしている暇はないという。「この一年間苦労してやってきたことを最後の最後で台無しにしたくはありませんから」
衛さん夫妻は「眩暈・卒倒」寸前の状況だが、ある民間企業の財務部で働く師楠さんは、近頃「むしゃくしゃすること」が多いようだ。
これから1カ月あまり、クリスマス、元旦、春節(旧正月)が続々と訪れるが、師さんは、執務デスクの財務諸表を前に、年度末決算の作業にどうしても身が入らない。
「社長は報告表を早く出せと催促してきます。時間がもう少しあればと思います。その一方で、来月に入れば半月以上の休みがあると思うと、一晩寝ればもう休みだったらいいのにと願う自分もいます」と話す師さんは、こうしたジレンマが、訳もなくイライラする元凶だと話す。
これらの状態は全て、流行りつつある「年末の焦り」という一語で表現可能だ。心理学者は、焦りは周囲からの圧力によって生じると指摘する。現代都市における仕事・生活のリズムは、加速の一途を辿り、仕事上の競争や昇進争いは激化する一方だ。年末には、昇進試験、総括、計画などのほか、さまざまな付き合いが集中、彼らにかかるプレッシャーもピークとなる。
仕事上のストレスを専門に研究している北京師範大学心理学院の許燕院長は、「勤め人は、上手に息抜きをするコツを会得しなければならない。高すぎる要求を自分自身に押しつけないよう気を付けること。特に、新人の場合、仕事の方向性がはっきりしない割に受けるプレッシャーはかなり大きい。自分が引き受けられる以上の責任は、上手にスルーするよう工夫すべきだ」と話した。
「人民網日本語版」2011年12月20日