ミールヌィ・ダイヤモンド鉱山はシベリア東部の小さな町のそばにある。そこは世界で最も寒い地域にあり、冬の気温は-50度に達する。しかし、この辺鄙な場所にこそ、旧ソ連が掘り出した世界最大の「人工洞穴」が存在するのだ。洞穴の大きさは、直径が約1600メートル、深さは533メートルにも及ぶ。衛星写真からも、穴の様子がはっきりと見て取れる。
このダイヤモンド鉱山は巨大な穴のせいで、風が下降気流となるため、ヘリコプター禁止の地域になっている。ヘリコプターは一度洞穴の気流に流されると、そのまま穴の下まで呑み込まれてしまう。
この世界最大の洞穴でダイヤモンドを採掘するのは簡単なことではない。冬になると、金属は凍り、破損してしまう。このダイヤモンド鉱山は旧ソ連最高の機密とされていた。ここで産出される大量のダイヤモンドは冷戦時代における旧ソ連の資本を支え、今でも、ロシア政府はここダイヤモンドで、巨額な資金を手に入れている。
1950年代のフルシチョフの時代に最初のダイヤを採掘してから、これまでにロシアは岩石を1億6500万立方メートル掘り出している。ロシア政府はこのダイヤモンド鉱山を管理するために、国営企業を設立した。この会社が採掘するダイヤモンドはロシアの産出量の99%、世界の産出量の23%を占める。
この巨大な洞穴は「ミールヌイ」と呼ばれる小さな都市にある。ここでは4万人が生活している。ここの鉱山で毎年20億ポンドのダイヤモンドが産出されるにもかかわらず、ミールヌイは世界で最も貧しい都市の一つとなっている。
調べによると、ミールヌイ鉱山はダイヤモンド資源が枯渇しつつある。実際、ロシア政府はダイヤモンド事業をシベリアの他の地区や国外へと移転する計画を進めている。