新世代の若者はなぜ変わってしまったか?
現在の若者の変化と抱える問題については以上のデータから分かった。「経済が低迷し、将来への不安が若者の自信を失わせている」とよく言われるが、その原因はそんなに簡単なものではない。これまでの世代が持ってきた「一流大学に入り、一流企業で働き、35年ローンを組んで家を買い、年金をもらって余生を過ごす」という考え方に対し、若者は「一生働いて平凡な人生を送るのは意味がない」と感じている。
また、物質的に裕福で安定した生活が送れているため、明確な目標や夢がなくなったことも原因であろう。現在の平均年収はバブル前の1980年代より3割ほど低いが、若者の生活は当時に比べてずいぶん良くなっている。政府が2010年に実施した調査結果では、71%の若者が現在の生活に満足している。
出生率の低下により、若者が減り、政治影響力もこれに伴って低下している。総務省が2009年にまとめた統計によると、20才の人口は130万人で、60才の人口227万人より100万人近く少ない。現在、若者が積極的に投票を行っても、その影響力は年配世代にはかなわない。そのため、各政党は福祉や年金、医療など、年配世代に向けの政策ばかりを出すようになり、恩恵の少ない若者はますます政治に興味を持たなくなった。投票は強制ではないため、若者の投票率は各世代のなかで最低となっている。
震災が若者を呼び覚ました
しかし、今年の成人式はこれまでとは違った。東日本大震災後初めての迎える成人式。この10か月間、被災地へ支援を送る若者をみて、日本人は若者の変化を感じるようになった。大地震発生後、多くの若者が被災地に赴き、支援活動を行った。彼らは被災地の状況をすぐにインターネットで公開し、世界の人々に被災地の生の様子を伝えた。また、多くの若者がSNSを利用して数千人以上の人にボランティアを呼びかけ、日本のソーシャルキャピタルを動かした。
また、昨年9月には日本の各地で反原発デモが行われ、人々は街中で大規模な抗議活動を繰り広げた。筆者は日本でそのような場面を見たことがなかった。その中でみた若者の姿は、これまでのような「受け身」ではなく、政治活動に積極的に参加する勇ましい姿だった。
一方で、昨年10月に起きたウォール街のデモが日本の若者に波及することはなかった。社会の不平等は日本では深刻な問題ではなく、若者は共感を持てなかったのだ。
逆に、震災は日本の若者のアイデンティティと国民性を呼び覚まし、彼らを成長させた。ネットリサーチ会社マクロミルが今月5日に発表した意識調査結果によると、新成人のうち、「日本の未来は暗い」と答えた人は80%だった。しかし、「自分たちの世代が国を変えてゆきたい」と答えた新成人も77%に達した。これは昨年と比べて10%以上も高くなっている。そのほか、政治、選挙、経済への関心度も大幅に上昇した。特に男性の関心度は、政治が78%、選挙が64%、経済が84%とどれをみても高い水準となった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年1月12日