一家団欒
お父さん、お帰りなさい。
カレンダーの日付が年越しに迫ってくるにつれ、マオマオちゃんの生活にもはっきりした変化が表れていた。道の両側の軒先には赤い灯篭がかかり、家の壁には「年年有余(来年はもっとよい年になりますように)」とかかれた飾りが貼ってある。
この4歳の女の子は中国の南部にある何の変哲もない村で暮らしている。彼女と毎日一緒に暮らしているのはお母さん。お父さんはどこか遠くで「大きなビルを建てて」いて、年越しの時期にだけ家に帰ってくる。
だから、マオマオちゃんにとって、年越しは他の人よりもっと大きな意味をもつ楽しみだ。お父さんとたった5日間だが一緒にすごせるし、一緒に春節の飾り付けをして、獅子舞を見に行き、“湯円”とよばれる旧正月につきものの白玉団子を作る。幼い心に、自分とお父さんの思い出がひとつひとつ重ねられていく。