運送品の紛失や中身のすり替えは、速達配送業界では珍しくなくなったが、速達会社従業員による横領事件が最近多発している。業界専門家は、このような現象は、すでに業界では暗黙のルールになっていると指摘。また、多くの消費者が損害賠償を請求しても報われることはほぼ皆無で、数千元(約数万円)の物品がなくなってもせいぜい100元(約1200円)しか戻って来ないのが現状だ。広州日報が伝えた。
中国速達配送諮訊網の徐勇・主席顧問は19日、「運送品遺失の20%以上は、従業員の『内部窃盗』によるものだ。そして、この種の事件は、チェーン加盟店制の速達会社に特に多い」と指摘した。
▽驚愕!iPhone携帯が「煉瓦」に変身
オンラインショッピングサイトで物品を購入した消費者が、速達配送会社から最終的に受取った品が煉瓦やミネラル・ウォーターなど購入品とは一切関係のないものだったとすれば、購入者は買った店にクレームをつけるのが一般的だ。しかし、最近多発しているのは、速達会社の従業員が品物を横領するというケースで、消費者にもその実態がだんだんと理解されつつある。徐氏は、「運送品が無くなった場合、20%は速達会社従業員の『内部窃盗』による。これは控えめな数字で、会社によっては40%に達するところもある」と打ち明けた。
メディア報道によると、北京にある宅配会社営業所の孫マネージャーは、営業所に届いた速達荷物をこっそり開け、中身の携帯電話を取り出して代わりに煉瓦を入れ、再び封をして配達に出した。簡単に成功したのに味をしめた孫マネージャーは、2人の従業員と共謀、運送品を開け、アクセサリーや健康食品などの高額商品と煉瓦をすり替えた。この悪事は会社の内部監査で発覚、3人は近く出廷して裁判を受ける。
天津の速達会社に勤める唐という配送ドライバーは、配達支所に荷物を届けた後、一つの荷物が余分にあることに気づいた。これは、仕分け担当者が間違って唐運転手の配達車に載せたものだった。唐運転手が無断で荷物を開けてみると、中身は6台のiPhone4携帯だった。会社側は、荷物が1つなくなったことに気づいたが、荷物を配送車に載せた場所は、内部モニターシステムで監視しているエリアの対象外だった。
国家郵便局の統計データによると、2011年、速達運送品の配達遅延、集荷サービス、荷物紛失・一部不足の三大問題に関する有効クレーム件数は、前年比大幅に増加した。これら三大問題が有効クレーム総数の89.6%を占め、うち荷物紛失・一部不足が前年比6148件(236%)増、全体の17.7%を占めた。
「人民網日本語版」2012年2月20日