仕事から帰ってきたとたん、「お隣のお子さんはピアノの試験に合格して、大学受験も有利になったらしい。うちの子も何か習わせないと。ほかの人に負けてられないわ」という妻の声……。こんな光景を生活の中でよく目にする。仕事や勉強、交際などに忙しく、目の回るような生活。ほかの人が持っているものは自分も持っていなければ気が済まない。なにをするにしてもトップでなければ気が済まない。こんな今の時代を象徴するかのような生活上のストレスが、一見華々しく見える人々の心をむしばんでいる。人民日報が発行する健康雑誌「生命時報」が報じた。
社会という側面から見れば、安心感を持てるように、周りの人との調和を保たなければならない。一方、個人という側面から考えると、弱肉強食の社会で誰にも負けたくないという気持ちが起きる。そのため、「全力で努力し、100点満点の成功を勝ち得る」というのが、多くの人の生活の格言ともなっている。しかし、長期間プレッシャーにさらされると、人の心身は伸びきったばねのようになり、しいては身に悲劇を招いてしまいかねない。
「腹八分目」や「桜は八分咲きが満開」とも言うように、生活にもゆとりがあるほうが、自身の能力を最善の方法で発揮できるのかもしれない。日本のサイエンスライターで医師の賀志貢氏は最近、「0.8ライフ学」の理念を提唱。これは仕事を適当にすればいいとか、自分には厳しくする必要はないというものではなく、何をするにも全力でぶつかる必要はなく、時には8割の力でも大丈夫であることを吟味させてくれるものだ。残りの2割の力は、余力として別のことのために残しておけばいいのだ。この8分目のライフスタイルが今、日本や台湾で流行しており、模範にできる。