不景気の影響で、日本国内の飲食業界は食うか食われるかの価格競争の渦中にある。24時間営業の牛丼とカレーライスを販売する外食チェーン店は、以前は平均価格が500円ほどだった。日本では一食500円と言うのはかなり安い方である。しかし、3年前、これらの外食チェーン店は牛丼とカレーライスの価格を300円まで値下げしたのだった。
筆者も当時、「金融危機が外食業界を追いつ追われつの激戦に追い詰めたが、牛丼チェーン店が牛丼一杯を300円にまで値下げして、本当に利益を確保できるのか想像も付かない」と指摘していた事がある。しかし、今年再びメニューを見ると、価格は更に280円へと大幅に値下げされていた。
熾烈な価格競争は中日の食品貿易の行き詰まりを意外なところから解消する糸口を与えてくれた。数年前には既に、食品業界のプロが「中国からの食品・食材の輸入を早いところ回復しなければ、日本の食品業界で大規模なドミノ倒しが起こる」と強調していた。大手小売チェーンの経営陣もまた、きっぱりと「何十もの検査を通って輸入された中国食品は、誰も検査管理しない日本産の食品よりも安全である」と指摘していた。
日本の公立小中学校も相次いで規則を改正して、学生がお弁当を持参して登校することを許可している。その背景には、3月11日の大震災と原発事故の影響があり、学校が提供する給食で使用する食材、つまりお米や野菜が放射能に汚染されていないかどうかを心配する保護者の声が多く聞かれたからだ。保護者が直接、自治体に嘆願書を提出し、海外の食品輸入を強化するよう求めた地域もあった。
西友は今回の中国産の米を販売する理由について、放射能などの影響に関する内容は避け、「3月11日以降、国産のコメ価格が上昇し、市場には低価格の米が不足していた」と説明し、今年の秋に新米が市場に出回った後も、中国産の米を引き続き陳列する予定であり、今後の市場の反応を見て決めていくとした。
日本の消費者は輸入の中国米に対し、比較的積極的な態度である事が分かった。「輸入食品は検疫を受けているため、日本の国産米に比べて安心だ。子どもにはなるべく輸入ものの食品を食べさせたい」と話す消費者も居る。また、「上海の寿司店で食べた際、お米がとてもおいしかった。日本から輸入した米だと思い、店員に直接聞いてみたところ、吉林米だと知った。安全が保障されるのなら、中国産の米を食べることになんら問題を感じない」との声もあった。
日本の企業は先陣切って危ない橋を渡ることを好まない。世論の反応や、「出る杭は打たれる」ことを恐れている。誰もがこう着状態の打開を望んでいる。西友は大きな「米旋風」を巻き起こした。輸入の外国産「米旋風」は今後、日本の大型スーパーで一大センセーションを巻き起こすことができるのだろうか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年3月14日