世界各地のネットユーザーが転送した一部写真(組版写真、5月15日撮影) |
わずか一週間たらずで、凌瑞◆(草かんむりに冥)さん(86)は世界一周旅行を実現した。中国青年報が伝えた。
写真がそれを証明している。1秒前にブラジルの熱帯降雨林で沈む太陽を眺めていたのに、たった1秒後にはフランス片田舎の田園風景の中にいる。
ニューヨークの高層ビル街にも、シドニーの美しい海岸にも、彼の姿がある。この「世界旅行」中に、彼は、香港で台湾の人気ロックバンド五月天のコンサートやNBAバスケットボールのロサンゼルス・レイカーズの試合を観覧、ボーイング737型機の操縦室にも入ってみた。
数多くの世界各地の風景を撮った写真に登場するこの老人は、病院のベッドの上で静かに毎日を送っているのが現実だ。末期がんを患った老人は、ほとんど自力で歩くことができない。彼は時おり、眼を開いてベッドの傍にある窓の外を眺める。窓からは、空が少しだけ見える。
「私はもう長くはない」-----。老人は、子供にそう語っていた。いつかは海外を旅してみたいと夢見ていたが、突然病気に襲われた彼は、病院の外に出ることさえもままならなくなった。
しかし、彼の孫娘・凌一凡さんは、祖父の夢の実現を決してあきらめなかった。「Buddy」のペンネームで活躍する漫画家で1980年代生まれの彼女は、ピンクのマツバボタンの大きな花束や金魚鉢の金魚など、常日頃から祖父に「夢」を届けていた。そして今回、彼女は祖父を外国の世界に連れ出した。
凌一凡さんは、「最初は、数十人の人達が手伝ってくれれば十分だと思っていました」と話す。彼女は、中国版ツイッター「微博(ミニブログ)」に、祖父を描いた人物画を掲載、投稿を読んでくれている人々に、彼らが住んでいる場所の風景とこの人物画を組み合わせて合成写真を作り、自分に送ってほしいと書き込んだ。
1時間も経たないうちに、このミニブログは1万回以上転送された。彼女は5日間で、1万枚以上の写真を受け取った。その大部分が、面識のない人々からだ。彼女は写真の一部を選び、自分のミニブログに掲載、感謝の気持ちを示した。