『日本新華僑報』20日付の記事によると、ほんの半年の間に、日本では各地で数十件の少年による暴力事件が発生している。
「一緒に遊ばないのなら殺してやる!」2012年4月23日未明、16歳の少年4名が同い年の中橋裕司さんを東京都江戸川区の公園に呼び出し、集団で1時間20分に渡って暴行を加え、最終的に死に至らせた。警察に連行された少年4名は直ぐに容疑を認めたものの、犯行に至った理由については、「いつも誘っても一緒に遊ばないので、頭にきた」と話している。警察の調査によると、逮捕された4名の少年の中には、中橋さんの同級生もいたという。
この事件の前日、東京都八王子市では中学3年生の男子生徒が、いつも友人からバカにされていたことから、見返してやろうと思い、バスの運転手を果物ナイフで刺すという傷害事件が発生している。
2012年2月、東京都に住む18歳の少年が、ホームレスの服に放火し、重傷を負わせた。少年は警察に対し、「殺すつもりはなかった。火がついて慌てる姿を見るのが楽しかった」と悔いる様子もなく大胆に供述している。 2011年年末、ホームレス男性が公園のトイレの個室で昼寝をしていたところ、突然、頭から冷水を浴びせられ、慌てて飛び出し、少年5名に暴行を加えられる事件が発生した。この少年たちの「イタズラ」の動機もやはり「楽しむため」だった。
この短い半年の間に、日本各地で既に数十件もの青少年による暴力事件が発生している。少年たちの暴力的な傾向は日に日に顕著になり、悪質な傷害事件が頻繁に発生し、警察は頭を抱えるだけでなく、その行為に驚きを隠せない様子だ。日本の国民は礼儀正しく謙虚で、規律を重んじるイメージがあるにもかかわらず、今の少年たちはなぜこんなにも狂気染みているのだろうかと聞かずにはいられない。
政府の教育予算は毎年削減されており、日本の小中学校の教育の質に大きな影響を及ぼしている。「ゆとり教育」は子供たちの学力や能力を上げる事ができなかっただけでなく、「青少年の暴力傾向の深刻化」などのマイナスの結果をもたらした。特に小中学校の「弱い者いじめ」は深刻化し、心に深刻なゆがみを抱えるようになった子どもも少なくない。人をいじめても怒られるだけで、いじめられるよりはましであると考えるようだ。暴力を崇拝する思想が徐々に彼らの中に根を下ろしていったのである。
社会的なムードが悪い中、特に暴力的な内容が入り乱れているマンガや映画が氾濫し、日本の青少年の暴力への一種の憧れを助長している。次から次へとヤクザをテーマにした作品や、殺戮シーンや暴力シーン、残虐な死の場面の影響を受け、少年たちは刺激を追い求めることを望むだけでなく、行動に責任を負わず、その行動自体に心酔し堕落して行き、自暴自棄になり、命をゲーム感覚で軽く考えるようになってしまっている。
家庭的なマイナス要因の影響や、家庭内暴力事件が頻繁に発生していることは、青少年の暴力的な傾向を助長する根本的な要因となっている。警視庁が公表したデータによると、2011年、警察が扱った家庭内暴力に関する訴えや相談は6.9%増加しており、15年以来の最多記録となった。専門家は、少年の暴力問題は家庭暴力と密接な関係があると指摘する。子どもの頃に家庭内暴力を受けた少年が心に抱える恨みや恐怖は増大し、極端な考え方を生み、自身の感情を抑えられなくなることもあるという。そのため、他人に暴力を加えることも多くなり、最終的には人を傷つけるという感覚さえも麻痺させてしまうのである。
日本経済の長期に渡る不景気と政権上層部の深刻な混乱状態によって、日本国民の国家の未来への見通しは益々あやふやになっている。このような社会的背景の中、近年の日本の静かな社会の背景には、今にも爆発しそうな感情が蠢いている。日本人の心の奥に潜む暴力的な傾向が徐々に現れ始めている。そのため、少年たちの悪質な傷害事件が頻発し、深刻化しているのは、氷山の一角に過ぎないのかもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年5月23日