私が中国で最初の日本語で出版される週刊誌「北京週報」の創刊にたずさわった頃は、この雑誌の編集の中心にいた人たちは、アメリカ帰りの人たちか、中国でもベストテンに入る英語使いの人たちだったので、かなりの原稿は英語で書かれたものだった。そこでみんなコンサイス英和辞典などにかじりついて、それを日本語に翻訳し、先輩にチェックしてもらっていた。今からふり返ってみると、たいへんあぶなっかしい綱渡りをしていたわけである。その後、上司にこれからは日本語で直接原稿を書く改革を行うということで、なぜかその実験第一号に私が選ばれ、私はいつも中国で初めてのテストケースのような役目を引き受けてきた。おかげでいろいろ勉強することもできたが、とにかく荒野のフロンティアの開拓に必死になって取り組んできたわけである。
そういう意味で、今日の若者たちにもフロンティアの開拓に勇往まい進することをアドバイスしている。つまり、既成のコンテンツに満足しているようでは停滞以外にないからである。たえず新しいコンテンツを開発しなければならないのだ。
日本語をツールとしてこなす仕事もますます高度化しており、ある意味では語学ばかりでなく、コンサルタント、評論家、アナリストといった才覚をも身につけていかなくてはならなくなっている。そして企画力、構想力というものも身につけていかなければならなくなっている。これは時代の変化によるニーズの高度化のなせることと言ってもよい。それに合わせてセルフ・リストラクチャリングをしなければならないのだ。
中国の国力の増強、国際的地位の向上は、われわれの生活にも大きな変化をもたらしつつある。それはわれわれの仕事のやり方の変化を促す力ともなって現れてきている。この波をとらえて大きく伸びていくには、自己変革以外に道はないと思う。いかがなものだろうか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年7月1日