これまで結婚は神聖なものとされてきたが、現代社会において、愛は美しいものでも、結婚は軽視されるようになってしまった。中国民政部(日本の厚生労働省に相当)がこのほど発表した、2011年度の社会サービス発展統計によると、中国の離婚率は7年連続で悪化。今年の第1四半期(1‐3月)だけでも、中国全土で、46万5千カップルが離婚した。1日平均5千カップルの計算になり、離婚率は14.6%に達している。北京や上海などの大都市に限ると、離婚率は3組に1組にまで上昇する。かつては「国民の婚姻関係が世界一安定した国」と評された中国だったが、そのような道徳観念は今、音を立てて崩壊している。人民日報が発行する健康雑誌「生命時報」が報じた。
▽離婚率上昇の原因とは
年齢別に見ると、離婚率が最も高いのは22‐35歳の若いカップル。中年層になると比較的安定するものの、50歳以上になると再び離婚率が上昇する。北京大学精神衛生研究所の叢中教授は、「社会の発展と時代の進歩が若者の思想に大きく影響を与えていることを表している」と指摘。「夫婦共働きという協力型結婚と違い、80年代生まれの若者は男女平等という意識が強く、一生の絆という概念がなくなった。また、個人の生活の中で、選択の機会や自由空間が増えたため、人々は『パーフェクトラブ』を求めるようになっており、結婚に対する期待が高まっている一方、我慢するという意識が低下している」と分析している。
また離婚と倫理観を結び付ける考え方も過去のものとなりつつあり、現代の家庭の結束力にも影響。子供や他人の評価などを気にして束縛されるということが少なくなっている。さらに、子供が大学に入学したり、結婚して孫ができたりするのを待って平和的に離婚する中年カップルも増加しており、中国にも「熟年離婚」の波が到来している。
このほか、大連理工大学人文社会科学学部の張志剛教授は「生活のペースが速くなっていることで、夫婦が共に過ごす時間が減っていることが、離婚の最大の原因」と指摘。「常識外れであることなど気にせず、逆にそれを成功の証しであるかのようにひけらかしている人がいる。また、結婚適齢期になっても結婚できない『売れ残り男性・女性』が増えているので、離婚しても新しいパートナー探しには困らないと考えている人さえいる。このような考え方がもともとデリケートな結婚問題をさらに脅かしている」との見方を示した。