松本選手がコメントの中で、48キロ級と52キロ級に特に触れたのにはわけがあった。日本は五輪開幕前、柔道の男女共7階級での金メダル獲得を目標に掲げていたが、前日行われた同2階級ではメダルさえ取れなかったのだ。特に、ワールドマスターズなど最近の国際大会で6回優勝し、金メダルに最も近いと言われていた48キロ級の福見友子選手がオリンピックの重圧からか、4位という残念な結果に終わっていた。福見選手本人も試合後、「一生悔いが残る試合」と落胆を隠せなかった。
一方、2008年の北京五輪で銅メダルを獲得した、52キロ級の中村美里選手もオリンピックの雰囲気に呑まれてしまった典型的な例だろう。世界柔道選手権で2度優勝した経験があり、「ポスト谷亮子」と期待されていた中村選手は当然優勝候補だったが、なんと一回戦で敗退してしまった。
そんな悪い流れになっていた日本柔道勢だったが、松本選手が見事金メダルを獲得。取材に対して、「金メダル第1号をとれて本当にうれしい」と興奮。そして試合中から真剣な眼差しをしていた松本選手は表彰台の一番高い所に立った時も、緊張からかずっとブーケをいじっていたが、「君が代」を聞き終わると、一気に笑顔がこぼれた。
「人民網日本語版」2012年7月31日