日本で秘境という言葉は、神聖な場所のことを指す。徳島県の祖谷は日本の三大秘境のひとつだ。地勢が険しいことから、祖谷では無数の妖怪伝説が残された。神がかった伝説が多く、日本の妖怪文化の発祥地とされる。現在では観光地として人気を博している。
地元の人々が様々な妖怪伝説を作り上げたのは、子供たちを危険から守るためだ。怖がらせることで、子供たちを危険地帯に入らせないようにしたのだ。それらはどれも長い物語となっている。祖谷がある山城町は「妖怪村」と呼ばれている。2008年、世界妖怪協会は山城町を「世界妖怪遺産」に認定した。
祖谷には現在、妖怪伝説と関連する場所が60か所以上ある。妖怪伝説では、30種類以上の妖怪が登場する。たとえば、山歩きが危険な場所では、わらじを奪う妖怪に遭遇しやすい。この妖怪は歩く人の足をつかんで歩けなくする。妖怪にわらじを脱がされると、ようやく危機から脱出できるという。
他にも、顔は老人だが泣き声が子供の妖怪がいる。山道で出くわすと、その妖怪は子供のような泣き声を発している。妖怪だとは知らない人がその泣き声を聞き、それを見つける。子供だと思い、同情して抱き上げると、それは懐の中でどんどん重たくなってくる。妖怪だと気付いて手放そうとしても、もう遅い。妖怪はその人の命を奪ってしまう…。
この妖怪伝説は、日本民俗学の創始者のひとりである柳田国男が「妖怪談義」で最も早く取り上げており、そこから一般に広まった。日本の有名な漫画家である水木しげるが著した「妖怪画集」に登場する“子泣き爺”の原型は、まさにこの妖怪伝説が元になっている。その後、同氏原作の「ゲゲゲの鬼太郎」が5回に渡ってテレビ化され、“子泣き爺”は日本で最も有名な妖怪のひとつとなった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年8月24日