「海南島近代史研究会」の創始者佐藤正人さんは旧日本軍による侵略行為を調査するため22回海南島を訪問した。写真は元「慰安婦」の林亜金さんの手を握る金静美さん(同研究会員、歴史家)=海南島保亭黎族苗族自治県南林郷羅葵村 |
日本の非政府組織(NGO)は11日、東京で「大娘(ダーニャン)たちの戦争と記憶--中国における日本軍性暴力パネル展報告」シンポジウムを開催し、旧日本軍が中国女性を「慰安婦」として強制労働させた罪を暴き、日本政府に対し歴史を正視するとともに戦争を反省し、被害者への謝罪・賠償など戦争が残した問題を早期に解決するよう呼びかけた。中国新聞社が伝えた。
同シンポジウムは日本のNGO団体「日本軍性暴力パネル展実行委員会」が主催した。同委員会の池田恵理子代表はパネル展開催の経緯について、「第2次世界大戦で被害を受けたアジア各国の女性たちが旧日本軍による『慰安婦』強制の罪に対して日本の法廷に訴訟を起こすケースが90年代から頻繁に見られるようになってきた。しかし、日本の法廷は女性たちが被害にあったことは認めたものの、日本政府への謝罪と賠償については棄却した。旧日本軍による暴行や被害女性たちが受けた悲惨な境遇を世間に知らせるため、この10数年間、中国人の元『慰安婦』の損害賠償請求を手助けする日本のNGO団体が中国の山西、海南島などの元『慰安婦』女性を訪ねて被害状況の調査・記録を行い、それをもとに展示用パネルを制作してきた」と説明。
同委員会は2009年から山西省武郷市や中国人民抗日戦争記念館(北京市)、陝西師範大学、広州などの地でパネル展を開催。「見学者の多くが旧日本軍による暴行に驚きと怒りを感じ、日本政府の態度を非難する同時に、女性の尊重や二度と戦争が起こらない平和な世界への思いを新たにしている」(池田代表)。
現在は南京師範大学と中国婦人児童博物館(北京)でも同パネル展を企画中。池田代表は「戦争が終わってすでに長い時間がたったが、日本政府はいまだに歴史を正視せず、戦争責任を果たしていない」と指摘。「学校もこの間の歴史を簡単にしか教えないため、若者は『慰安婦』についてほとんど知らない。このことが最近の右翼政治家の支持率上昇につながっている」と語る。「責任を持って歴史を語り続けていく」と池田代表。