英日刊新聞「フィナンシャル・タイムズ」のウェブサイトは21日、「コーヒー文化が中国の茶館を脅かしている」と題する記事を掲載した。人民日報系の国際情報紙「環球時報」が報じた。
記事の要旨は以下の通り。
英語には、「中国のお茶を全部もらっても---しない」(Not for all the tea in China)という表現がある。なにがあっても絶対にしないということを強調する表現だが、この根底には「中国と言えばお茶」という認識がある。
しかし現在では、そんな中国でもコーヒーが人気になりつつあり、中国と言えば「お茶」という方程式は崩壊の危機にある。英市場調査会社「ミンテル」がこのほど発表した報告によると、過去5年間、中国国内の喫茶店の数はほぼ2倍に近い3万1千件以上になった。一方、茶館は4%増の5万件にとどまった。件数だけを見ると、茶館が依然として喫茶店を上回っているものの、利用者の多くが高齢者で、今後少しずつ衰退していくことが懸念される。
「ミンテル」は、「茶館は主に富裕層をターゲットにしており、提供されるのは高級なお茶や食べ物、サービス。ただ、個性に欠けていることに加え、喫茶店のチェーン店が台頭しその地位が危うくなっている状況下で、対抗するブランド力がない」と分析。「中国国内の茶館の増加率は今後も下降するだろう」と予測している。
「茶館」をさらに脅かしているのは、例えば、近年中国で勢力を伸ばしている米コーヒーチェーン店「スターバックス」が、烏龍茶や白茶(はくちゃ)などの販売を始めていることで、「コーヒー文化は非常に好きだが、コーヒーの味はちょっと…」という人のニーズにも応えていることだ。同報告は、「喫茶店の多くがコーヒーとお茶の両方を販売することで庶民向けの茶館に好感を抱いている若いサラリーマンを囲い込んでいる」と指摘している。
同報告によると、現在、中国の消費者の4分の1が喫茶店でのお茶系ドリンク購入を選択している。中国国内にある「スターバックス」のメニューを見てみると、「その他のドリンク」という項目があり、そこには「エスプレッソ」などではなく、「シェイク」などコーヒーとは無関係のドリンクが多いことに気付くだろう。中国で「スターバックス」が人気となっているが、中国人がコーヒー好きとは限らないのだ。
「人民網日本語版」2012年12月24日