一度の事故が、世界の石油大手である英BPをかつてない困難に陥れた。「エコ」を長期にわたり主張してきたBPはこれまでの栄光をすべて失い、「100回の優れた行いが1回の悪い行いに覆い隠された」といえる。
メキシコ湾の原油流出事故が発生してから、BPは米国の国民と政府から非難を浴び、一気にイメージダウンした。巨額の損害賠償が請求されるばかりか、破たんとなる可能性もあり、中国企業を含む石油企業に買収されるという情報も飛び交っている。こういったことは事故発生前はまったく予想できなかった。
BPは非常に大きな圧力を受けている。政治家の批判や大衆からの非難を浴びたのに加え、市場の反応が激しく、株価の暴落や資産の縮小、キャッシュフローへの影響も現れると考えられる。
そんな中で、BPの買収に関する憶測が高まっており、同社がすでに投資銀行のゴールドマン・サックスを顧問に迎え、敵対的買収を防ごうと対策を練っていると伝えられた。さらに、スタンダード・チャータード銀行は報告を出し、「中国石油天然気(ペトロチャイナ)が買収プレミアム30%でBPを買収する」と大胆な予測をした。