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japanese.china.org.cn |19. 06. 2019

世界紀行(28)シュテファン大聖堂 喧騒のなか世の移り変わりを見守る

タグ: シュテファン 大聖堂 ウィーン 教会


写真・文字=葉飛


斯特凡大教堂


 

 シュテファン大聖堂はウィーンを象徴する、世界的に有名なゴシック様式の教会の一つだ。高さ137メートルの塔は、教会の塔としてはケルン大聖堂に次ぎ世界2位となっている。シュテファン大聖堂は1997年に建設から800周年を迎えた。


 欧州の歴史上残されているすべての教会と同じく、シュテファン大聖堂は幾度も災いに見舞われており、改築を繰り返してきた。第二次大戦後のオーストリアは荒廃しきっていたが、すぐに祖国再建が始まった。シュテファン大聖堂は建国に意気込むオーストリア全国民の象徴となった。


 教会は洗練され美しく、ゴシック様式の2列の柱は教会内を3つの部分に分ける。遠くから眺めると、聖壇の裏側のガラス窓から彩り豊かな光が差し込み、バロック様式の聖壇に厳かな雰囲気を持たせている。


 シュテファン大聖堂を見つけるのは難しくない。市内の各所からその高さ137メートルの塔を見ることができる。ただし道をたずねながら近づくほど、喧騒と混雑に襲われる。教会だけを写真に収めようとするならば、仰ぎ見るより他はない。教会はずっと変わらないが、その周辺は瞬時にして変化していた。


 黄昏時になると、南塔は立入禁止になっていた。そのためシュテファン大聖堂は筆者が東欧旅行で計画していたうち、建物から周辺の風景を見下ろすことができなかった唯一の教会になった。ところが筆者は回りの市民の拍手と歓声により現実に戻された、数人の若者がストリートダンスを披露していたのだ。街頭の風景もウィーンらしく、自由でありながらロマンチックで、過度に注目しされることもない。誰もが自分の世界のことに専念する。ふと空から力強い深みのある鐘の音が伝わってきた。その方向にはシュテファン大聖堂の高くそびえ立つ鐘楼があった。その音は20トンの青銅の鐘から響いていた。


 それはウィーンの人々が侵略者から奪った武器を使い作ったものだ。壊滅的な第二次大戦の砲火によりそれは粉々になったが、ウィーンの人々はこの無数の欠片を集めて鐘を蘇らせた。その音は依然として味わい深く、悲しみも恨みもなく、過去を偲び未来に思いを馳せるだけだった。これがシュテファン大聖堂が筆者に残した印象で、悠々とそびえ立ち、不慣れな喧騒のなかこの世の移り変わりを見守っている。

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