中国政府は次のように規定している。民族地区でインフラ施設の項目を実施する時、地方の負担する資金を適度に減免しなければならない。民族地区で資源を開発し、企業を起こす時、地元の利益、少数民族の生産と生活を配慮しなければならない。天然資源を輸出し、国の生態バランス、環境保全のために貢献した民族地区に対し、一定の利益補償を与えなければならない。1994年、国は中央と自治区の鉱産資源補償費に対する配分比率を4:6に調整し、その他の省・直轄市は5:5とした。2004年、国は生態建設と環境保全の補償メカニズムを確立し始めた。新疆の豊かな石油、天然ガス資源を開発する際は、地元の発展を引き上げることを重んじ、「西気東輸」という項目に限っても、毎年新疆に10余億の財政収入を増やしている。
貧困問題を優先的に解決し、人民の生活の保障・改善に力を入れる
多年来、国は一連の政策や措置をとって少数民族大衆の貧困問題を解決している。20世紀50年代、国は一部の貧困地区の少数民族大衆に無料治療を行い、貸付金や農具を支給し、公費学校を創設し、社会救済を行った。1983年、国務院は全国少数民族地区生産生活会議を開き、比較的短期間内に一部の大衆の衣食、住宅、飲用水問題を基本的に解決すると打ち出した。1990年から、国は「少数民族貧困地区衣食扶助基金」を設立し、141の少数民族貧困県を重点的に援助してきた。1994年には、国は「八七貧困扶助難関突破計画」を実施し始め、援助の基準を緩和することを通じて、優遇策を受ける少数民族貧困県を116県増やした。2001年からスタートした「中国農村貧困扶助開発要綱」は、また民族地区のために国家貧困扶助開発重点県を10県増やし、同時にチベット自治区も特殊な地域としてそっくり国の貧困扶助重点範囲に組み入れた。2005年、国は少数民族貧困村を優先的に「全村推進」プロジェクトの貧困扶助開発計画に組み入れた。2007年、国は『少数民族事業「十一・五」計画』を制定し、11項目の重点プロジェクトの建設計画を立てた。2009年、国は新たな貧困扶助基準を実施し、カバー範囲を拡大し、民族地区の農村低所得人口に対し貧困扶助政策を全面的に実施している。その他、国は救済の代わりに仕事を与える、移住による貧困扶助、遊牧民の定住化、農村危険・老朽住宅の改造、農村安全飲用水プロジェクトおよび都市・農村の最低生活保障制度などの実施を通じて、民族地区への精力的な支持を引き続き拡大している。たゆまぬ努力の結果、民族地区の貧困人口は1985年の4000余万人から2008年の770余万人まで減少した。
歴史文化の相異や風俗習慣、宗教信仰の違いから、中国の少数民族の中には生産や生活面で特殊な需要がある。例えば、チベット族、蒙古族、ウイグル族、カザフ族などの牧民は馬鞍、乗馬靴、磚茶(辺境向け販売のレンガ状に固めた茶)を必要とする。イスラム教を信仰するイスラム教徒はイスラム教の食品などが欠かせない。これらの特殊な需要を尊重し満たすために、国は民族貿易と民族特殊需用品の生産供給に対する優遇政策を実施している。国は1963年から民族貿易を行う企業に対し、利潤留保、自己資金確保、価格補助金の「三つの配慮」政策をスタートさせた。1997年、国は新たな優遇政策を公布し、特定項目の低金利貸付を設け、一部企業の付加価値税を免除し、全国1760余社の少数民族特殊需用品の専門生産企業がその恩恵を受けるようになった。1991年、国は磚茶の国家備蓄制度を確立し、安定供給を保証している。2007年、国は少数民族特殊需用品生産企業の技術改善、技術普及、養成訓練などの補助に用いる「少数民族特殊需用品生産補助資金」を設立した。
国は少数民族と民族地区の医療衛生事業への傾斜政策を重視し、少数民族と民族地区の衛生事業の急速な発展を促すため、優先的に実施している。これにより民族地区の都市部の医療レベルが大幅に向上し、農牧区の医療条件も明らかに改善され、少数民族大衆の受診難の問題を適切に緩和し、各民族人民の健康レベルが著しく高まっている。改革開放政策を実施して以来、国は民族地区で郷鎮衛生院(郷・鎮の病院)システムを配置し建設・改造し、県クラスの衛生防疫ステーションと婦人と小児向けの保健所を設立し、それにより民族地区の衛生サービスシステムは大幅に改善された。チベット自治区の80%以上の県には防疫ステーションが設立された。国は民族地区の風土病と伝染病の予防・治療の活動をたえず強化し、過去に流行した克山病(心筋を侵すカシンベック病)、結核症、大骨節病(関節を悪くするカシンベック病)などを基本的に抑えた。国は多様なルートを通じて、少数民族の衛生人材を養成し、絶え間なく少数民族の衛生関連の専門人材を増やしている。新疆ウイグル自治区の少数民族衛生技術者はすでに自治区全体の衛生技術者の3分の1まで占めている。
牧畜区、辺境地区の建設を大いに支持し、つりあいのとれた発展を促す
中国の主な牧畜区はいずれも民族地区にあり、牧畜業は蒙古族、チベット族、カザフ族など十数の少数民族のほとんどあるいは一部の人びとが世襲的に営み、生存や発展のよりどころとしてきた基礎産業である。1953年から、国は牧畜区に対し、農業区や都市部より低率の税収政策、牧場保護、定住誘導などの特殊な政策や措置を実施している。改革開放政策の実施以来、国は牧畜区に対し、家畜の各戸返還、牧草地の請負、自主経営という政策を実行している。1987年、国務院は全国牧畜区工作会議を開き、27県を牧畜区の国家貧困扶助重点県に確定し、牧畜区貧困扶助特定項目の低金利貸付を設立した。1999年、中国政府は、草原建設を農地基本建設と同等の重要な位置に置き、牧畜業と農業の協調的な発展を促進することを強調した。2005年、国は農・牧畜業税を全面的に廃止した。数十年のたゆまぬ努力を経て、民族地区は中国の重要な農・牧畜業産物の生産基地になった。内蒙古の牛乳の生産量は全国の5分の1を占め、全国で第1位にランクされている。新疆のウール、カシミヤの生産量は全国第2位に立っている。
|