今年度の経済・社会発展の主要目標は次の通りに設定する。①GDPの成長率を七・五%とする。②都市部新規就業者数は九〇〇万人以上とし、都市部の登録失業率を四・六%以内に抑える。③消費者物価の上昇率を四%前後に抑制する。④輸出入総額の伸び率は一〇%前後とし、国際収支の状況を引き続き改善する。それと同時に、産業構造の調整や自主イノベーション、省エネ・排出削減などの面で新たな進捗を遂げ、経済成長率と同じペースで都市・農村住民の実質所得・純収入の増加をはかる。ただ、ここで重点的に説明しなければならないことは、次の二つの点である。①GDP成長率の目標値をやや下方修正したのは、主として第十二次五ヵ年計画の目標に逐次リンクさせるとともに、各方面が経済発展パターン転換の加速や経済発展の質とパフォーマンスの確実な向上に力点を置くよう導いて、より長期にわたって一層高水準でより良質な発展につなげていこうとしているからである。②消費者物価の上昇率を四%前後に抑えることをうち出したのは、輸入型のインフレ要因や生産コスト増大の影響と住民が受け入れられる度合を総合的に考慮するとともに、価格改革のためにも一定の余地を残すためである。
諸般の状況を総合的に勘案した結果、積極的な財政政策と穏健な金融政策を継続して実施し、さらに情勢の変化に応じて適時かつ適切に事前調整または微調整を行い、政策の的確さや柔軟性、予見性をいっそう高めていかなければならない。
引き続き積極的な財政政策を実施する。①適度な財政赤字と国債の規模を維持する。今年度、財政赤字は八〇〇〇億元に定め、その内訳は、中央財政の赤字額を五五〇〇億元、中央が地方に代行して発行する地方債を二五〇〇億元として、赤字率を一・五%前後までに引き下げる。②財政支出の構造を最適化し、重点を際立たせる。教育、文化、医療・衛生、雇用、社会保障、保障タイプ住居プロジェクトなどへの投入を大幅に増やすなど、予算の民生分野への傾斜配分にいっそう重きを置く。ウィークポイントの補強にいっそう力を入れ、「三農」や未発達地域、科学技術イノベーション、省エネ・環境保護、水利、地質調査・鉱物資源探査などへの支援を強化する。③勤倹節約にいっそう励み、「三公経費」を厳格に規制し、会議と公文書の削減に力を入れ、公用車使用面の制度改革を深化させて、さらなる行政のコストダウンを図る。ビル・公会堂・ホテル・ゲストハウス建設の規模と建築物の規格を引き続き規制し、大型スタジアム・体育館の建設への支出を圧縮する。重点分野や重点部門、重点資金に対する会計検査を全面的に強化する。④構造的減税を実施する。小企業・零細企業と自営業者の発展を支援する諸般の租税優遇策を本格的に実施し、充実させるとともに、営業税から付加価値税へ試験的に移行する作業を行う。引き続き行政管理・サービス関連費用・料金徴収と政府系基金を整理、再編し、規範化させる。⑤地方政府の債務に対する管理とリスク対策を強化する。債務を分類して管理し、それぞれの実状に応じて扱い、逐次解消するという原則にしたがって、引き続き政府の債務残高を適切に処理する。また、地方政府の資金調達受け皿会社をいっそう整理し、規範化させる。いかなる形であれ各級政府が規則違反の保証や承諾を与えることを断固として禁じる。それと同時に、短期的な対応策と長期的な制度上の整備を結びつけて、地方政府の新規債務を厳しく抑制するとともに、地方政府の債務収支を仕分けて予算管理の枠に組み入れる。