長らく注目を集めた日本の自民党総裁選は、福田康夫氏の圧勝でついに決着がついた。もともと穏健な手法と穏和な政治姿勢で知られる福田氏は、自民党内の衆望を担っており、組閣と政権掌握も間近だ。9月26日の天皇による親任式を経て、日本の政局は新たな1ページを開く。(文:高洪・中国社会科学院日本研究所研究員)
自民党の今回の総裁交替は、内政上の難局を打破し、政策調整により民意の支持を回復し、体制を立て直そうとの色彩を明らかに帯びている。新内閣の外交基軸について、福田氏はすでに選挙演説で「国連外交・日米同盟・アジアの一員」の「3つの中心」を掲げてきた。舞台の幕が開き、主役が登場した後、自らをアジアの一員と位置づける日本政府が、対中外交関係をどのように処理するかが、人々が注視するポイントとなってくる。
日本の新首相の名前が「福田康夫」というのは、なにか偶然の巡り合わせかもしれない。仏教の考えによると、「福田」とは善縁を結び、福徳を収穫できる田を意味する。この比喩の由来は、およそ努力とは農民が田を耕すようなもので、瓜を植えれば瓜が取れ、豆を植えれば豆が取れるように、行動に応じた結果が得られることから、田を喩えとして福田と称すのだ。われわれは唯物主義者であり、当然ながら、宗教の教義を単純に引用して日本の政治家に行動を求めることはできない。だが中日関係の現実は、福田首相が一層の知恵と勇気を出し、中日両国の互恵と共同発展のために、善の果実の種をまき、良縁を結ぶことを、確かに必要としているのだ。
福田氏が選挙前から「相手が嫌がることをする必要はない」として、首相就任後も靖国神社を参拝しない考えを明確に示したことに、人々は喜んだ。これは、歴史問題における安倍氏の曖昧手法よりも、善意の進歩であることは確かだ。
それならば、中国の核心利益に関わる台湾問題においても、福田首相とその指導する政府も、「3件の政治文書」の原則的精神を恪守するべきであり、「台湾独立」勢力に誤ったシグナルを送るべきではない。また中日の戦略的利益が対立する東中国海問題においても、衝突を減らし、対立を埋める姿勢で、穏当に事を進める必要がある。
当然ながら、複雑に錯綜する中日関係は、一路順風とはいかない。日本の新内閣と中国政府の関係は、歴史と時間の試練に耐えうるものでなければならない。「梵網経」の言葉を借りるなら、災難と病を除くには、広く福田に種をまくことは最も重要だ。現在の中日関係の病状を除くためには、日本は経済成長に伴う中国の安全保障・防衛力整備を直視し、中国の平和発展が地域・世界情勢の安定に果たすプラスの役割を理解しなければならない。中国は日本の過去の平和発展を肯定すると同時に、新政権が日本を、世界の人々が安心し、称賛する健全な道へと導くことを、さらに期待するものである。
両国政府・各界の努力の下、中日関係は過去1年間に顕著な改善と発展を得た。中日の友好協力関係の発展を一貫して重視し、推進してきた中国の政府と人民は、引き続き日本との友好関係の発展に力を尽くしていく。安倍前首相が両国の政治関係の改善のため積極的に「氷を割り」、小泉政権時の外交の難局に転機をもたらしたと言うのなら、われわれは福田新首相が自らの努力によって、新政権の樹立を中日関係の一層の発展に向けた良い契機とすることを期待する。
結局、中日関係の強化は両国政府・人民の根本利益に合致し、戦略的互恵関係の発展基調の維持は、両大民族が求める最終和解への福音なのである。対中関係の処理において、福田康夫氏が大局重視を堅持し、「善事を多く行い、広く福田に種をまく」ことをただ願うものである。
「人民網日本語版」2007年9月26日