東アジア統合に対する米国の姿勢に変化が生じている。それを物語るのは、最近起きた2つの事例だ。
1つは、一連のASEAN会議で、クリントン国務長官が米国政府を代表して「東南アジア友好協力条約」に署名したことだ。同条約への署名は、東アジアサミットへの参加条件の1つであり、米国のこの行動は、東アジアサミットに米国が参加する可能性を示唆するものだ。もう1つは、「メコン川流域開発計画」を提案し、東アジアの準地域経済協力に介入してきたことだ。ASEAN会議の期間中、クリントン長官はタイ、ラオス、カンボジア、ベトナムといったメコン川下流域諸国の外相と同時に会談し、環境・医療衛生・教育分野の協力強化について協議したほか、国際河川管理機構メコン川委員会と米ミシシッピ川管理委員会との「パートナーシップ」構築を提言した。
この2つの動きは、米国が東アジア統合に対する姿勢を、消極的な傍観から積極的な介入へ、二国間主義から地域協力枠組への加入へと転換したことを示している。ブッシュ政権期、米国はオーストラリア、シンガポール、韓国と自由貿易協定を締結したほか、タイやマレーシアとも同様の協定の締結を検討した。だが、東アジア統合機構への参与については、「汎アジア」協力体制が米国の行動の自由を妨げ、その影響力を削ぐことを懸念し、態度を保留してきた。アジア太平洋経済協力会議(APEC)という「環太平洋」枠組への参与を除き、米国はASEANと自由貿易圏構築を協議することも、ASEANプラス1、ASEANプラス3、東アジアサミットといった、「汎アジア」協力枠組に参与することもなかった。
「汎アジア」協力枠組の力強い発展を前に、オバマ政権の政策に3つの大きな変化が起きた。(1)東南アジアへの関心と投入の強化(2)開発問題の重視(3)「パブリック・ディプロマシー」や民間交流の強化による、米国の国際的イメージの改善??だ。
東アジア統合への米国の積極的な介入は、域内諸国の政策選択に影響を与えると同時に、東アジア協力における「大国間の競争」の議論も引き起こす。メコン川流域を例に取ると、すでに日本がメコン川流域協力計画を提唱している。日本は08年1月にメコン川流域5カ国との外相会議を開き、大規模な経済支援計画のほか、ミャンマー、タイ、ベトナムを横断する「東西経済回廊」の構築、今後5年でメコン川流域諸国の青年1万人を日本に招待することなどを発表している。
「人民網日本語版」2009年8月3日 |