中国の温家宝総理は政府活動報告の中で、経済成長方式の転換、都市部と農村部の格差解消、所得分配構造の調整などに関する各種措置を掲げた。経済・社会の健全な発展に向けた中国政府の自信と決意がそこに表れており、海外メディアから高い関心が寄せられている。
朝日新聞は社説の中で、「中国は今年も8%成長を目指すと同時に、成長至上主義による深刻な所得格差などのひずみをただす......。5日に開幕した全国人民代表大会(全人代)の政府活動報告で、温家宝首相が明らかにした」と報じた。
社説は「単に、成長するかどうか、ではない。健全に成長するかどうか。中国について、世界がかたずをのんで見ているのは、そこである。昨年は世界的な経済危機のなか、8%成長を保つ「保八」が最大の目標になり、結果として8.7%の成長を確保した。そして、今年の方針は収入の格差是正に力点を置くことになった。経済構造を輸出・投資主導から消費主導に改めるとともに、省エネルギーにも励み、持続的成長を図るという」としている。また、「成長を持続的なものにするためにも、その質に目を向けることは避けられない。カギとなりそうなのが、所得分配制度の改革だ。『合理的な所得分配制度は、社会の公平・正義の重要な表れである』。『共同富裕』を提唱する温首相のこの指摘は正しい」と評価した。
フランス「欧州時報」は掲載した評論の中で、「温家宝総理の政府活動報告から強いメッセージが読み取れる」とし、「中国首脳陣の関心は、経済成長率の追求から人民本位と科学発展へ、中国政府の施政方針は、「国富(国が豊かになること)」から「民富(国民が豊かになること)」へと重要な転換を迎えている」と指摘。これについて、「温総理は、全ては人民の暮らしを、より幸せで、尊厳あるものとし、社会をより公正で、調和の取れたものとするためだ、と熱を込めて語った」と伝えた。
韓国「東亜日報」は、「中国製造から中国創造へ」と題した文章を発表し、全人大で、“中国創造”、“自主イノベーション”などの経済基調が打ち出されたことに触れ、「科学技術への投資と知的財産権の強化に向け、安い労働力に頼った“中国製造”から、新しい技術および価値へと経済成長方式の転換をはかることを求めた」と伝えた。
「人民網日本語版」2010年3月10日