コペンハーゲン会議にしても人民元レート改革にしても、先進国がもっとも頭を抱えるのは、中国が発展途上国の尽力を受け、先進国の要求と圧力に抵抗してきたことだ。第三世界の賛同と信頼は、中国の「ヘラクレスの大地」と言え、力の源である。コペンハーゲン会議での一部の発展途上国の中国に対する反発や、最近になってブラジルとインドが急に中国が為替操作国であると非難するようになったことから、中国の地位が高まり、先進国のロビー活動が強化されるにつれ、この「大地」は緩むことがわかる。また中国は投票権の引き上げ幅の半分以上を占めているため、多くの発展途上国は様々な考えを示し、「大地」はさらに緩むだろう。中国が現在すべきことは、第三世界のパートナーと積極的に協力し、引き続き賛同と支持を得ることで、高望みすることではない。
世界銀行が発展途上国の投票権比率を引き上げた最大の目的は増資(20年ぶりに総額35億ドルを増資)を行い、資金不足を解決することだ。先進国は今回の金融危機で大きな打撃を受け、多額の出費には耐えられない。今回の改革を通して、発展途上国は半分近くの投票権を獲得したがその地位はまだ低い。また発展途上国の投票権は合わせてみれば多いが、各国それぞれの投票権はまだわずかなので、欧米諸国などの先進国に対抗することは難しい。中国と第三世界の諸国の共通利益は、協議を通じ、投票権の比率15%超という否決権を行使できる最低ラインを守り、共通利益が侵害されないことを確保することにある。双方がまだお互いが必要である状態で別れを告げれば、それぞれに何のメリットもない。
投票権の改革で、主に欧州諸国の利益が犠牲になっている。フランスやドイツ、イギリスなどの投票権はいずれも大きく縮小している。米国は16%から15.85%に縮小したが、引き下げ幅は小さく、依然として15%以上の投票権を握っている。これに対し欧州諸国は不平をこぼしている。欧州にとって、中国が発言権を高めたことに意見はないが、発言権がもっとも大きい米国の比率下げ幅を欧州諸国より大きくすべきだとしている。中国がより多くの投票権を得たことは無論良いことであるが、欧州諸国との関係の調和をはからなければ、欧州諸国がその怒りの矛先を中国に向けることも考えられる。そうなれば中国の投票権比率と発言権は逆に下がり、さらに孤立することになる。
したがって、人情から言っても道理から言っても、中国はさらに慎重かつ謙遜な姿勢を示し、焦って「第三世界」に別れを告げるのでなく、「第三世界の一員」という立場を守る必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年4月28日