香港の軍事評論家 馬鼎盛
日本の小惑星探査機「はやぶさ」が3億キロ離れた小惑星イトカワへの着陸及び岩石サンプルの採集を完了し、無事帰還した。「はやぶさ」の7年間・60億キロの航程は、人類の宇宙史において多くの新記録を打ち立て、世界一を狙う日本の宇宙技術を世に示すこととなった。「はやぶさ」は技術的な故障で3年ほどコントロールが利かなくなってしまったが、生き残ったエンジンを組み合わせることで起死回生し、人類の遠隔操作技術において初の快挙を成し遂げた。もし、日本がこれらの成果を軍事面に応用すれば、中国やその周辺国家にとっては大きな脅威になる。
これに対し、北京のある軍事専門家はこう言う。「はやぶさ」など大したことはない。その与圧室はたった6kg、M5ロケットの推力も小さく、軍事用に応用したところでどうにもならない。また、日本の宇宙事業は商業的マーケットに乏しく、中国の宇宙事業の勢いにはかなわない。
しかし、イギリスの『JANE'S MISSILES AND ROCKETS』によれば、日本のM5ロケットは直径2.5メートルの世界最大級の三段式固体燃料ロケットで、1.8トンの衛星を250km、傾斜角31度の楕円軌道に打ち上げることができるという。また、それは大陸間弾道ミサイルにも装着可能だ。
日本は電子と半導体の強みを生かし、制御の精確さにおいて他国をリードしている。米国は日本と協力し、その先進技術を入手すると同時に、ロケット推力技術を日本と共有している。「はやぶさ」は真の宇宙探索を行うために開発された。飛行中は、先進的なイオンエンジンの運用や、小惑星への自律的接近・着陸、岩石採集、地球への帰還、回収等を含む様々な実験が行われた。