「アジア太平洋地域におけるロシアの働きを増強しなければならない。ロシアはこの地域でかなり安定した地位を得ているが、われわれがさらに積極的に行動することを地域も期待している」----。ロシアのメドベージェフ大統領は2日、ハバロフスクで開かれた極東社会経済発展会議で、ロシアのアジア太平洋「出撃」に「総動員」をかけた。
事実、アジア太平洋での主導力の強化というロシアの構想は、経済面で形になっているだけでなく、軍事的な動きも鮮明にしている。現在実施中の軍事演習「ボストーク(東)2010」は、東アジアにおける地位を強調するための軍事力の誇示と見られている。ロシアのこの戦略的野心は、ロシア海軍の精鋭が演習に参加していることから一層明らかだ。演習の前に、3隻の旗艦全てに遠距離航海をさせたのが、将兵の戦争準備水準を高めるためのロシア海軍の極端な方法であることは明らかだ。しかもロシア海軍は、3隻の軍艦の遠距離航海中に、実戦に近い訓練を数えきれないほど行ってきた。
■海軍の精鋭が総出動
ロシアメディアによると、「ボストーク2010」にはシベリア軍管区と極東軍管区の全ての陸軍常備部隊、空軍長距離航空兵、前線航空兵部隊、および海軍の3大主力艦隊が参加。6月30日にはミサイル巡洋艦「ワリャーグ」、大型原子力ミサイル巡洋艦「ピョートル大帝」、ミサイ巡洋艦「モスクワ」が一斉に日本海に入り、演習を行った。
海兵隊の協力の下、3大軍艦は水雷演習、対潜水艦演習などの通常訓練に加え、火砲発射、強行上陸を含む実戦的な演習も行った。3大艦隊の旗艦が日本海に集結したこと自体、ロシア海軍にとって過去20年来で最大規模の海上演習を意味する。ロシアが今回、日本海で大々的に軍事力を誇示することで、「東アジアにおけるロシアの地位を軽視するな」とのメッセージを伝えようとしていることは明らかだ。演習中、ロシアは太平洋艦隊の大型揚陸艦、大型対潜水艦など主力艦を含む軍艦や保障船30隻余り、および太平洋艦隊海兵隊、航空兵の戦闘機やヘリコプター20機余りを動員した。
■背後の深い意味
ロシアのラブロフ外相は2日、「アジア太平洋地域の安全保障情勢は楽観を許さない。朝鮮核問題、領土紛争、テロは、いずれもロシアの安保上の利益にとって脅威だ」と表明した。今回の態度表明は、ロシアの戦略布陣においてアジア太平洋地域の比重が高まっていることをはっきりと示している。
「人民網日本語版」2010年7月6日