当面の世界各国の国際戦略状況をみると、新興大国の出現と世界の多極化の進展により、多くの3カ国間関係に新たな変化が生じている。中でも特に顕著な3つの3カ国関係について以下で分析する。
中米欧3カ国関係――米欧の中国依存が高まり、共同利益拡大
近年、総合的な国力の増長と国際的な地位の高まりにともなって、中国は次第に中米欧関係の方向性に影響を与える重要な位置を占めるようになってきた。中米欧の関係は、過去のような「2対1」ないし「不等辺三角形」から、まだ第一次的で完全な等辺ではないものの「正三角形」へと発展しつつある。――単純にイデオロギーでもって線を引くのではなく、あくまでも国益の確保という基礎の上に立って、互いに協力しつつも競争し、また相手に依存すると同時に牽制もし合うというような関係を築くべきである。
中米欧の間の協力と競争の重点項目は、伝統的な安全保障や地政学の領域に限られるものではない。もはや、反テロリズム、大量破壊兵器拡散防止、気候変動、エネルギー資源環境、世界金融の安定等の方面においても中米欧の協調が不可欠である。これらの領域において中国の果たす役割は日増しに重要なものとなっており、中国が解決に参与する問題も次第に多くなってきている。中国は米国の最大の債権国であり、EUも中国が欧州経済復活のために力を発揮することを望んでいる。米欧は世界からの挑戦に応えるために、積極的に中国との協力を強めつつある。
中国と欧州は、共に米国への力の一極的な集中は望んでおらず、世界の多極化を進展させるために、戦略的パートナー関係を築いている。他面、EUは、中国が欧州よりも米国を重視し米中がグローバルな規模で協力を拡大すれば欧州の既得利益を脅かす、との認識を持っている。そのため中国の国際的な影響力が高まり続けている現状に際し、米欧は、金融危機の影響を中国に転嫁したり中国により重い「国際的な責任」を負わせるなどの共通の利益を有する。
オバマ大統領は就任以来米欧関係の改善に力を入れているが、EUは未だ自らが米国とは独立して世界の「一極」となるという目標を諦めてはおらず、双方の立場の隔たりは長期的に続きそうだ。中米欧の三者はいずれも、国際的な体制の改革の過程において、自らが最も大きな影響力と最も有利な戦略態勢を獲得することを企図しており、この三者が未来の世界情勢の決定に及ぼす影響は相当に大きなものとなるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年7月7日