メキシコ時間11日未明、気候変動枠組み条約第16回締約国会議(COP16)の参加193カ国は決議を採択した。これには▽2010-2012年に発展途上国に計300億ドルの気候変動対策資金、2020年以降年間1000億ドルを供与▽発展途上国が管理を主導する「グリーン気候基金」を設立▽森林破壊・減少対策への資金援助▽貧困国による低炭素技術の導入を容易にする▽米国など温室効果ガス排出大国の排出削減を国際的に監視▽京都議定書第1約束期間(2012年終了)と第2約束期間(2013-2020年)の数量化された排出削減に空白ができないようにするーーなどが盛り込まれている。(人民日報海外版、コラム「望海楼」)
今回の交渉では鍵となる問題のいくつかが解決されなかった。例えば先進国の排出削減目標が低すぎること、気候資金の拠出の問題、米国が依然京都議定書から離脱していることなどだ。だが資金援助、技術移転、森林保護、発展途上国の気候変動対策の能力開発などの面で難しい進展が得られた。
中国は会議で積極的な成果が上がるように努力した。開会前から中国はプラスの環境を整えた。中国は依然として1億5000万人に貧困層を抱え、エネルギー総消費量の70%前後を石炭が占めるという不利な条件の下、第11次五カ年計画に定めた20%の省エネ目標を年内に達成できる見込みだ。1990年から2009年の間に、中国は単位GDP当たりエネルギー消費量を53%引き下げた。同時期の先進国は30%足らずだ。2008年以来、中国はクリーンエネルギー開発の最大投資国であり、現在までに2兆元を投じている。エネルギー総消費量に占める再生可能エネルギーの割合を2020年までに15%に引き上げるとの目標も定めた。
英国政府のスターン元気候変動問題顧問は、こうした中国の排出削減行動とクリーンエネルギーへの巨額の投資という事実によって、中国自身、さらには発展途上国陣営全体がCOP16で主導権を握ることができ、米国や他の先進国が交渉の先延ばしや排出削減への消極姿勢の口実を見つけることも難しくなったと指摘する。
中国の役割は、他の発展途上国の気候変動対策能力開発への援助にも現われている。中国は太平洋島嶼国の80件余りの事業を支援したほか、2008年から2013年にかけて他の発展途上国の小型クリーンエネルギー事業を支援することも計画している。
中国はCOP16のプロセス全体を具体的に促した。中国代表団は77カ国グループと共同で、気候変動緩和関連の教育・育成・認知度の問題に関する報告案を大会に提出した。これは全会一致で採択され、COP16初の合意となった。交渉の正念場では、中国はインド、ブラジル、南アフリカと協力し、発展途上国の排出削減行動における「国際的な協議と監視」の受け入れの問題について、米国など先進国の不合理な要求を拒絶するとともに、発展途上国への資金・技術提供、能力開発支援の詳しい情報の提出を受け入れるよう先進国に促した。中国の具体的な行動は国際社会から幅広く称賛された。たとえばブラジルの気候変動問題特使は「中国は排出削減の分野で際立った貢献をした。気候変動交渉で果たした役割も非常に建設的なものだった」と指摘している。
「人民網日本語版」2010年12月13日