早急には結論づけず
原子力の専門家、アモイ大学エネルギー研究院の李寧・院長によると、2件の事故の後、安全が原子力業界を発展させる際に当たって考慮すべき最優先事項となり、その後、世界的に大規模な放射能漏れはほぼ起きていない。
また李院長は「日本で発生した原発事故は、ある意味から言えば、市民にとっても非常に良い教育の機会となり、人類が原発建設を改めで評価する必要がある場合は今後、安全性への要求が経済性の追求を遥かに超えるだろう」と指摘。
だが同時に、どの技術も固定化された不変的なものではなく、社会とともに進歩しており、原発技術の経済性能と安全性能が絶えず向上していることを認識する必要がある、と強調する。
同大学中国エネルギー経済研究センターの林伯强・主任は次のように話している。「各界には消極的な解釈が比較的多いが、実際、今回のような強い地震に対しては、日本の原発への対応と処理を前向きに考慮すべきであり、少なくとも今のところ、多くの人が想像していたほど深刻ではない」
李院長は「12日に発生した爆発を見るかぎり、原子炉は爆発していないと言っていいだろう。でなければ、現場で検出された放射性物質がセシウムとヨードだけに限られることはない」と強調。
「史上最大の事故に面して、少なくとも現在まで大規模な放射能漏れはない。これは原発の安全と保護がやはり非常に良いことを物語っている」。その上で李院長は、日本の原発は安全性能が最高の第3世代のものではなく、その最終的な影響は引き続き観察しなければならないと話す。
林主任は「今回の事故が世界に一層強い反対の声を呼び起こすのは間違いない。中国について言えば、立地ではより科学的な政策決定が必要となり、中国では電力負荷の中心が東南沿海部にあるため、原発は主にその地域に決定された。いかに慎重に選択するか、政策決定者はこれまで以上に格別の注意を払う必要がある」と指摘する。
長年にわたりエネルギー業界に関心を寄せてきた新華社世界問題研究センターの楊元華・研究員は「事態は進展中であるため、原発の開発について早急に結論を下してはならない。だが、日本の事故が全世界の原発の建設や管理、監督に影響を及ぼすのは必至だ」と強調。
李院長は「原発に対しては、やはり総合的に判断することが大切だ。過去20年の世界にある500台近いユニットで全世界に必要な電力の約15%が供給されているが、事故は皆無だ」と指摘する。
国家エネルギー局の幹部は「われわれは事故の進展を注視しているが、最終的な結論が出る前に、中国の既定の原発発展戦略を改めることはない」との考えを示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年3月13日