引き続き盛り上がりをみせるウォール街占拠デモ
▽社会運動へと発展
抗議デモの拠点となったマンハッタンのズコッティ公園は、教師が学生らを連れて見学に訪れたり、多くの観光客が足を運んだりとニューヨークの一大名所となっている。
ワシントン州の抗議デモに参加するため、ニューヨーク州からわざわざ駆け付けた女性(30)は記者に対し、「若者の失業者が増える中、ごく少数の人間が米国の財産や権力を握っているとの考え方が強くなっている。共和党、民主党のいずれにしても、金融大手に支配されている」と話す。
ウィスコンシン州の「緑の党」の政治活動家、マンスキーさんは壇上に立ち、「貧乏人も堪忍袋の緒が切れた。これは奴隷解放運動や女性参政権運動などと並ぶ神聖な争いだ。こうした運動と同じく私たちも勝利を手にする」と呼びかけた。
ベトナム反戦運動と公民権運動に参加した経験を持つポール・フリードマンさんは、今回の抗議デモが全米で大きな反響を呼んでいる理由について、「米国は60年代以降、これほど激しい抗議デモが起きたことはなかった。ウォール街占拠デモと公民権運動、ベトナム反戦運動には非常に似通った点がある」と指摘する。
デモ参加者の構成は、失業した労働者や大学生もいれば、ベトナム戦争に参加した兵士や主婦もいるといったように複雑で、政治的な派閥や社会階層で線引きすることはできない。参加者らの要求も反戦から反金融支配、米国の占拠から医療費の免除に至るまで多種多様で、明確な目標や具体的なアジェンダはない。抗議デモがいつ終わり、どこに向かっていくのか、参加者ら自身も戸惑っている。デモ拠点での生活に耐えられず、意欲を失う人もいる。毎日新たなメンバーが加わる一方で、去っていく人も多い。
米国の専門家は「規模の大きな今回の抗議デモはすでに激しい社会運動へと発展し、米国の経済・政治・社会における根深い問題を浮き彫りにした」と分析。「最終的には政府の舵取りに影響を与え、教育・インフラへの投資や雇用創出、イノベーションの奨励など正しい方向に政治を動かすかもしれない」と指摘する。
「人民網日本語版」2011年10月11日