米国金融機関が引き起こした金融危機勃発から3年が過ぎたが、米国経済の回復は遅々として進まず、失業率も高止まりで、国民の不満は募るばかりだ。連日のように行われているウォール街でのデモは拡大・蔓延の様相を呈しており、米国社会の分裂と、不況と政治に対する国民の不満を反映している。このような背景の中、一部の米国政治家が再び人民元レート問題を持ち出したが、これは責任転嫁であり、国内の問題を棚に上げた、票集めのための政治ショーに他ならず、外にスケープゴートを求めているだけで、根本的な解決方法ではない。経済問題の政治化は問題解決に役立たないばかりか、米国の政治・経済問題をますます悪化させるだけだ。
現在、欧米諸国の債務危機はますます深刻化している。世界経済は複雑かつ敏感で、変化が多い重要な時期に差し掛かっている。こんな時こそ中米両国は協力し、ともに世界経済回復のために努力する必要がある。米国が一方的な制裁手段をとれば、WTOの原則・規定に背くばかりか、貿易紛争を激化させ、中米双方の貿易と世界経済にも悪影響が及ぶだろう。米国政府、国会、各界の有識者たちが、中米経済貿易協力の大局と米国自身の利益という観点から出発し、保護主義を放棄し、立法という手段で中国に圧力をかけるのをやめ、レート問題の深刻化と貿易保護主義の蔓延を防ぎ、中米関係の良好な発展を共に守り、世界経済の力強く、バランスの取れた、持続可能な成長を促進するために貢献することを願う。(作者 同済大学財経証券市場研究所所長・経済管理学院教授・石建勳)
「人民網日本語版」2011年10月10日