さらに日本は米国の地域戦略における重要な地位を示そうとしている。昨年7月、クリントン米国務長官は東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議で、南中国海問題に対する「関心と興味を示した」。その後すぐに日本の主流メディアは社説で、「国際協力を通じて中国の南中国海への進出を阻止」しなければならないと主張。日本は、「失われた20年」、そして東日本大震災による打撃を受けたばかりだが、米国の地域戦略調整に協力する固い信念と十分な能力があることを米国に証明したいところだ。特に日米間では普天間基地移転問題、TPP問題などの解決が長引いており、大統領選を控えたオバマ政権は日本に対してすでに根気を失っている。一方、野田内閣は特に米国との良好な関係ををなんとかして示す必要がある。
日比声明は、両国が地域および多国間会議の機会を利用して頻繁にハイレベル対話を行うと強調。特に11月に開かれる東アジア首脳会議で「緊密に協力」する予定だ。日本が国際的な場面でベトナム、フィリピンの立場を支持し、多国間協議による南中国海問題の解決を推し進めるかどうかが野田内閣の対中政策を推し量る風向計となる。
ただ、震災復興、経済振興、赤字削減、エネルギー戦略改善といった問題を前に、野田内閣の最大の圧力は国内にある。東京の戦略派政治家らは、「日本が不景気から抜け出し、経済社会問題を解決するのに中国の手助けが必要だ。野田内閣は現実的な利益を顧みないわけにはいかない」と指摘する。そのため日本の南中国海への介入、米国との協力、中国けん制、ASEAN抱き込みが望み通りになるか疑問が残る。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年10月11日