最近ペルシャ湾上空で戦雲が低く垂れこめている。というのも米国とイランがこの地域で頻繁に軍事演習を行い、地域情勢が緊迫した状態にあるからだ。ただ緊張が続いた後、突然互いに身を低くし、「柔軟」な姿勢をみせる。米国とイランの戦争はそう簡単に勃発しないとの見方が強い。米国がイランに戦争をしかければ、次の4つの難題に直面する。
(1)後始末をどうするか?
湾岸戦争、イラク戦争、コソボ戦争、アフガニスタン戦争といった4つの立て続けの戦争を見ると、イラクとアフガニスタンの2地域における3つの重大戦争で、米国は最後手を引けない状況に直面した。それに比べるとコソボ戦争の後始末は理想的だったが、それでも妥協の基礎の上だった。後始末の問題をうまく解決できないのに、不用意にイランに戦争をしかければ、米国はイラクやアフガニスタンよりもさらに苦しい状況に追い詰められるに違いない。
(2)誰と結託するか?
戦後、米国が単独で対外戦争を起こすのは稀で、「大勢でのけんか」を好む。イランというわりと大きな敵に対し、米国が単独で挑むはずがない。米国の差し迫った問題は誰と結託するかを解決することだ。これまで米国と共に戦ってきたのは主に北大西洋条約機構(NATO)諸国だが、欧州諸国はいずれも経済的に大きな困難を抱えている。こうした情況のなか、彼らが米国に力を貸す能力があるか、そしてそれを望むかが大きな問題となる。イラン周辺の中東湾岸諸国が米国と結託するかは未知数だ。この問題を解決しなければ、後方基地の設置、兵力投入など一連の影響が出る。
(3)反撃防止
イランの手中には現在、原油の輸送路であるホルムズ海峡の封鎖、長距離地対地ミサイルという2つの主な反撃手段がある。
技術的にも能力的にも米国にはイランのこの2つの反撃手段に対抗できる措置があるが、その対抗措置でもこれらの反撃手段を徹底的に解決するのは難しい。ホルムズ海峡の問題だけで、米国とイランは難局に陥るだろう。イランが海峡を完全に封鎖すれば、米国でもイランの妨害を完全に除外はできない。イランは数発の水雷だけでこの水路を危険にさらすことができ、致命的な危険ではないが、十分な面倒を起こせる。この海域の海上保険料を引き上げれば原油価格の上昇につながり、封鎖と同じ効果が得られるからだ。
(4)米国とイランは当分開戦しない
米国はまず経済、外交、政治などの手段を使うだろう。これらの手段を使い切り、それでも思い通りの効果が上がらない場合に最後の手段として戦争が持ち上がる。今のところ米国の手段はまだ残っている。例えば、米国のイランに対する経済制裁はまだ極端な状態に達していない。米国の軍事配備の準備もまだ完全に整っていない。特に情報収集面で、米国の無人機がイランに捕獲されて少なくない難題に直面している。
つまり戦争は米国とイランの間でそう簡単には起きない。双方の関係が極度に緊張した後、各自が「柔軟」な態度を見せる根本的な理由はそこにある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年1月20日