▽東部地域の重点、GDP成長からバランスの取れた発展へ
各地の政府活動報告が発表されるに伴い、今年の発展目標も明確になった。経済が発展した東部の一部省・市では、GDP成長目標から、経済・社会のバランスの取れた発展へと重点がシフトしつつあるのに対し、西部地域では、GDP目標が軒並み東部地域より高くなっている。
広東省が今年掲げた成長目標は8.5%。2011年の10%増から下方修正した形で、経済発展に対する態度が理性的なものへと変化しつつある。広東省は中国で初めてGDPが5兆元を超えた省だが、広東省委員会の汪洋書記は今年の活動報告で、GDPを一度も口にしなかった。
汪書記は以前、「広東省が抱える最大の課題は成長速度や経済規模ではなく、成長の質と持続可能性だ」と指摘していた。
上海と北京も同様に成長目標をおおむね8%に設定しており、産業構造の調整と経済の転換・高度化に焦点を移している。上海市委員会のユ正声書記(ユは諭のつくり)は「発展パターンの転換は容易ではない」と率直に語った上で、「転換にはペースダウンが必要だ」との見方を示した。
こうした変化にはメディアも関心を寄せている。中国の一部地域では、安定した経済成長の維持が常態化し、転換と高度化が主軸となる深層レベルでの調整期に入ろうとする中、地方政府の取り組みも国民生活の向上へと重点が移りつつある、と伝えている。
東部地域の理性化とは裏腹に、西部地域ではGDP成長に対する意欲がなおも強い。貴州省の目標は14%、重慶市は13.5%、雲南省・四川省・西蔵(チベット)自治区などはいずれも12%に設定。メディアは、一定の成長を保つことが経済社会の発展を支える基盤であり、発展の後れた地域にとって発展は依然として最優先課題だと報じている。
「人民網日本語版」2012年2月29日