資料写真:戦闘機F35
日本の田中直紀防衛相は2月29日、米国から導入予定の新型ステルス戦闘機F35について、納品の遅れや価格の高騰が避けられない場合、契約を取り止め、改めて他の機種を選定する可能性を示した。英国も空母配備用としてF35艦載型の購入を止め、F35垂直離着陸型を導入する考えを表明した。(文:陳虎・著名軍事専門家。広州日報掲載)
米国の次期主力戦闘機で、今後の主要輸出機でもあるF35は開発過程で一連の問題が発生し、争いが絶えない。
まず最初に、どういう事態が開発失敗と見なされるかの定義づけが必要だ。最も極端な事態は開発プロジェクト全体が失敗し、航空機の開発にいたらなかった場合だ。F35はすでに飛行を行い、少量生産は可能な状態なので、完全な失敗という極端な事態の可能性は低い。だが失敗と見なされる事態は他にもある。例えば開発期間の大幅な延長、価格の大幅な高騰によって他国が購入できなくなる、輸出後の使用過程で重大な技術的欠陥が発覚するなどだ。
■F35の開発失敗は連鎖反応をもたらす
米国式装備の採用国は、ほぼみなF35を次期戦闘機に選定している。英国も日本もオーストラリアもカナダも、みなそうだ。このためF35開発計画の延期は、多くの国の空軍力の整備に影響を与える。米国の同盟国や米国式装備の採用国の多くは、将来の戦闘機の選択を失う可能性がある。
また、巨大な賭けとして、大手ロッキード・マーティン社など米国の軍需産業に甚大な影響を及ぼすだろうし、米国経済に大きな副作用をもたらす可能性すらある。もちろん、こうした可能性は全て推測に過ぎない。だが現状を見ると、こうした事態の生じる可能性はどんどん高まっているようだ。こうした事態がいったん生じれば、巨大な連鎖反応をもたらすだろうし、ある意味において米国の覇権の重要な要素に影響を与える可能性すらあるのだ。
「人民網日本語版」2012年3月20日