米国のクリントン国務長官とパネッタ国防長官は30日、フィリピンのデルロサリオ外相、ガズミン国防相とワシントンで会談した。
会合後に発表された共同声明は▽米比同盟は過去のどの時期にも増して堅固であり、両国間の深く持続的な関係を反映している▽「米比相互防衛条約」は依然として両国の安全保障関係の基礎であり、双方は条約に定められた共同の義務を再確認した--と指摘。世界と地域情勢の変化に対応すべく、力強く、柔軟で、迅速な対応のできる同盟を維持すると表明したほか、共通の戦略・安全保障目標、経済協力、法治原則の推進などについて協議したことを明らかにした。
共通戦略目標については、「バリカタン」形式の合同軍事演習の継続を表明した。米側のまとめによると米比は毎年約20回の合同軍事演習を実施。昨年は米軍の軍艦100隻余りがフィリピンを訪問し、フィリピンの軍人500人余りが米軍の訓練を受けた。
米国のあるシンクタンクの専門家は人民日報の取材に、黄岩島(スカボロー礁)事件でのフィリピン政府の行動を「奇異」としたうえで「フィリピンは米国がこの問題について発した『曖昧なメッセージ』を利用した。米政府は政策を誤って解釈されたり、事態がエスカレートすることのないよう、何を支持し、何を支持しないのかを明確に表明すべきだ」と述べた。
別の評論家は「米国はアジア太平洋指向の戦略の再均衡化という大きな背景の下で、南中国海問題を取っ掛かりにして、地域の緊張を焚き付けることで、『米国は不可欠で、中国はルールを守らない』という地域世論をつくろうとしている。米政府は最新の態度表明で、どちらの側にもつかないとする一方で、軍事同盟を強調し、自国の国益についても多く言及している。その内在的矛盾と漁夫の利を求める心理は明らかだ」と指摘した。
「人民網日本語版」2012年5月2日