日本政府は7月31日、2012年版防衛白書を発表した。軍事費の急速な伸びなど中国の軍事力に大きな紙幅を割いている。今回の防衛白書について専門家は「中国の脅威を誇張するうえで焦点をより絞っており、実質的に『中国脅威論』を作り上げることで自らの防衛費増加と急速な軍事的発展の口実を探すものだ」と指摘する。中国新聞網が伝えた。
「中国は国防費を増加し続け、軍事力を広範かつ急速に近代化している。わが国近海での活動もたゆまず拡大し、活発化させつつある」。日本の森本敏防衛相はこうした「緊迫感」に満ちた言葉を防衛白書の刊行によせて記した。
白書は中国の軍事費は24年間で30倍に増加したと指摘し、「中国海軍艦隊が太平洋への進出を常態化させつつある」ことに懸念を表明している。外交学院で日本問題を専門とする周永生教授は「中国の軍事費と海軍活動に関する細かい記述は、今年の白書が中国の脅威を誇張するうえでより具体的かつ焦点を絞るようになったことを示している。これは今回の白書の大きな特徴だ」と指摘する。
「中国の軍事費の伸びは理に適った伸びであるのに、日本はこれだけを取り上げて強調している。中国の脅威を誇張する意図の表れだ」。周氏は「日本がこのようにするのは、大規模な軍事防御力を将来構築するための『合理的な伏線』を敷いているのだ」と説明する。
白書は「中国軍は装備状況、調達目標、国防予算の詳細、軍近代化の具体的なビジョンが不明確で、透明性を欠く」と言及。さらに「中国の動向は地域の懸念事項となっている」と指摘している。
これについて中国社会科学院日本研究所の李薇所長は「日本の懸念と中国の脅威の誇張には魂胆がある。日本は中国脅威論によって国内の感情を煽動し、自らの軍事発展の加速と軍事的独立の実現に向けた『口実』を探しているのだ」と説明する。
白書は日米両国は「機動的防衛協力」を推進し、日米同盟の抑止力を維持するとしている。だが李氏は「日本の最終目標はやはり自らの政治的、軍事的独立にある。このため米国のアジア太平洋回帰の際に、日米同盟を利用して、軍事的独立を一歩一歩実現しようとしているのだ」と指摘する。
清華大学現代国際関係研究院の劉江永副院長は「日本はすでに2010年の新『防衛計画の大綱』で中国を主要防備対象に定めている。現在日本は国内の経済と財政状況がかんばしくない。中国の脅威を誇張することで、防衛費増加の理由を得ることができるのだ」と指摘する。
今回の白書は中国の動向への懸念に加え、「朝鮮は弾道ミサイル能力を強化している。朝鮮の核実験は日本の安全保障にとって重大な脅威だ」と指摘。また、ロシアや韓国との係争島嶼の領有権を再び主張し、韓国から強く抗議された。
周辺国を全て「脅威」と見なす白書の手法について周永生氏は「これは日本民族がかねてから強い『危機意識』を持っているからだ。このほかに日米同盟の枠組みで日本は常に米国と戦略を一致させており、この地域での態度の区別を明確にしていることがある」と説明する。
一方、周永生氏は「周辺国をみな脅威と見なすのは、日本文化に存在する『被害者』意識に由来するものかもしれない。これは不健全な意識であり、中国を始めとする周辺国への不信感が根源にある。日本はこの不健全な意識を改め、自らを反省することに重きを置くべきだ。釣魚島問題など敏感な問題で故意に摩擦を起こしてはならない」と指摘する。
「人民網日本語版」2012年8月2日