「環球時報」傘下の世論調査機関が全国7都市の住民を対象に行った調査で、「中国は依然発展途上国」との回答が過去3年間で最高の8割に達した。2010年末の段階で中国は世界第2の経済大国となり、国民生活は大幅に改善し、国際競争力も高まった。だが急速な台頭は圧力ももたらした。国内経済のモデル転換が多大なリスクや試練を抱えていること、そして国際情勢も複雑化していることを、外国は中国の台頭の代償の1つとして警戒している。今回の調査では、今後5年間の中国経済の成長と市民生活の改善に対する予想は過去2回を下回った。中国人民大学公共政策研究院の毛寿竜教授は5日「過去10年間の中国の急速な発展の成果は巨大な経済規模であり、市民の物質生活も無から有への移行を経験した。さらなる改善、成長の余地は限られ、減速するため、過去10年間の成長スピードを今後も維持するのは困難だ」と指摘した。環球時報が伝えた。
調査は北京、上海、広州、長沙、成都、西安、瀋陽の7都市で7月24潤オ27日に行われ、1511件の有効回答を得た。無作為抽出で95%信頼区間、許容誤差±2.5%。
「中国は現在どのような国か」との質問では「発展途上国」との回答が79.5%、「新興工業国」との回答が12.7%で、「先進国」との回答は5.3%に過ぎなかった。「発展途上国」との回答は2010年の調査より1.1ポイント、2011年の調査より4.5ポイント増えた。一方、「先進国」との回答は過去3年間で最低を記録した。
「中国の現在の発展速度は速すぎる」との見方に「賛同する」は40.9%、「賛同しない」は52.5%だった。「賛同する」は昨年の調査より8.2ポイント増えた。「今後5年間の中国経済全体の成長率はどうなるか」との質問には予想よりも慎重姿勢が目立ち、「年々上昇する」はわずか32.5%で、昨年より2.2ポイント減少。「不安定に上下する」が40.5%で昨年より4.2ポイント増加した。
国務院発展研究センター世界発展研究所の丁一凡副所長は5日の取材に「中国経済は過去10年間に最も急速に発展した。同様のペースを今後も維持するのは困難だ。急速な成長の余地はほとんどなく、将来の経済成長軸も予見できない」と述べた。毛寿竜氏は「過去10年間の急成長の最大の原動力は製造業、不動産業、輸出だった。今や不動産ブームは去り、高速道路や高速鉄道など主要インフラはほぼ完成し、製造業は成長力を欠き、金融業の貢献は限られ、民衆は将来の成長率への予想を引き下げている」と述べた。
調査では「過去10年間中国社会は全体として安定していた」との見解が86.1%、「今後10年間の情勢は安定」との予想が9割に達した。だが過去「局地的に動揺や不安定が生じたが、全国的な影響はなかった」との見解や、今後「内外の不安定要因に妨げられ続け、全国的な深刻な動揺や不安定が生じる」との予想も去年よりやや増えた。丁一凡氏は「発展の中で経済・社会問題が次第に浮上してきたことを示すものだ。こうした問題は過去の急成長期には潜在的で、見落とされていたのだろう。だが国の全体的安定に対して民衆は自信を強めている」と述べた。
このほか73.1%が「過去10年間に個人と家庭全体の生活水準は高まった」、19.6%が「ほぼ変化なし」、7.4%が「生活水準が下がった」と回答した。今後数年間の生活状況の変化については52.9%が「現在よりもよくなる」、33.7%が「現状維持」、6.6%が「現在よりも悪くなる」と予想した。過去2回の調査と比べると生活は良くなると予想する人はやや減り、「現状維持」が増えた。毛寿竜氏は「明日はもっと良くなる」と予想する人が減ったことについて「過去10年間は無から有への時代だった。家、車、金は初期蓄積の段階が終った。現有の条件下でのさらなる改善は、これまでよりも余地が少なく、困難だ」と述べた。
「人民網日本語版」2012年8月6日